ネタの探し方を変えればいくらでも出てくるよ!
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- ネタ切れにならない方法
- 改善提案のネタを見つける20の観点
- それでもネタが見つからない時の対処法
- 改善提案とはなぜ必要なのか?
この記事を書いている私(現場マン)は工場の現場に関わって10年以上が経ち、工場の様々な問題に対処してきました。
ネタの宝庫と呼ばれ、思いついたネタで大きなものだけでも20個以上は常時抱えています。
改善提案のネタが切れてしまった人のよくある悩みとして、
「今までいろんなことをやって、もうさすがに思いつかない」という点があると思います。
私も昔はネタに困った時期がありまして、痛いほど気持ちが分かります。
思いつかないけど時間だけはどんどん過ぎて、焦りますよね。
それで、何とかしぼり出してもネタもビミョーなので上司もビミョーな反応…。
しかし、私は仕事をするなかで「ネタの見つけ方」があることに気が付きました。
それに気付いてからは「ネタの宝庫」と呼ばれ、いくらでも出てくるようになりました。
さらに、周りの人がネタに困っている時にこの見つけ方を教えることで、全員がネタに困らなくなりました。
本記事では、ネタがなくて悩む人が減ればいいなと思い「ネタの見つけ方」を解説します。
目次
改善提案のネタは「ネタの見つけ方」さえ知ればいくらでも見つかる!
改善提案はなぜネタ切れを起こすのか?
改善提案のネタを見つける前に、なぜネタ切れを起こすのかを考えていきます。
改善提案とは、自分で改善できそうなところを見つけ出し、改善することになります。
つまり、ネタを自分で見つけなければなりません。
そして、ネタが見つかるかどうかはその人の観点によって決まります。
例えば、作業の「動作」の改善をこれでもかとやった作業については、さらなる「動作」の改善点を見つけ出すことは難しいです。
しかし、次のような別の観点で見ると意外とすんなりと改善点が出て来ます。
- 「そもそもその作業しなければならないのか?」
- 「設備の電気代的にはどうなの?」
- 「安全性はどうなの?」
要するに、ネタ切れを起こすのは別の観点で見れていないのが原因なのです。
つまり、ネタ切れを起こさないためには観点を増やせばいいのです。
改善提案のネタを見つける20個の観点
具体的には20個の観点があります。
数が多いので、さらっと書いていきます。
自分の中でピンとくるものだけを見てもらえれば大丈夫です。
ひとまずそれで改善提案のネタを見つけて対応できると思います。
しばらくして、また行き詰まることがあれば、もう一度自分に吸収できるところを吸収して頂ければと思います。
先に注意点を解説しておきます。
注意点
また、20個の観点は互いに同じものを指すことがよくあります。
例
安全の観点:危険な場所を変える
場所の観点:危険な場所を変える
このように、2つの観点からが同じことが見つかることも多々あります。
結局欲しいのは改善点なので、「どの観点から見て改善点に気付くかどうか」はどうでも良いのです。
気付けるかどうかが重要なので、同じものが見つかったとしても気にしないでください。
それでは20個の観点です。
改善提案のネタを見つける観点
観点①:5Sの観点
まずは、5S。
基本中の基本です。
- 置き場にモノがちゃんと置かれているか?
- 使いやすい場所に置かれているか?
- 不要な物はないか?
- それを使用するルールがあるか?
- ルールが守れるようになっているか?
などのことを自分の現場を見ながら考えます。
大きな改善にはつなげにくいですが、小さな改善で時間稼ぎをするには効果的です。
5Sのレベルについて知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
観点②:安全の観点
災害が起こるのは多くがトラブルが発生した時です。トラブルが発生して慌てた状態を想定して考えてみましょう。
- 危険な場所はないか?
- 頭をぶつけそうなところはないか?
- 狭い通路はないか?
- 壊れたまま使用しているものはないか?
などの災害につながりそうな部分がないかを考えます。
これも5S同様に大きな改善にはつなげにくいですが、時間稼ぎにもってこいです。
基本的には5Sと安全で時間を稼ぎつつ、他の観点から大きな改善につなげていくのが実務上やりやすいと思います。
この記事でオススメしている対策は、小改善ネタとしても十分に使えるので、安全関係で改善をしようとしている方は参考にしてみてください。
また、安全について真剣に考えていきたい方はこちらの記事をどうぞ。
観点③:動作の観点
作業や移動の動作について考えます。
- 無駄な動きはないか?
- 右手で使うのに左に置いてあるなど、動作に無理がある部分はないか?
- 動作をスムーズにするために、モノの置き方、作業の順番を変えられないか?
などを考えます。
全ての動作を細かく見ていくだけで、ネタの宝庫になります。深く追求すればするほど色々なことが見えます。
観点④:繰り返しの観点
繰り返し何度も同じことをやっていることについて考えてみます。
- 毎日、毎週、毎回同じことをしていないか?
- 同じことは1回でまとめてできないか?
- 1回で済ませているものを数回に分けることはできないか?
などを考えます。
繰り返しを減らすことも大事ですが、一度にやるから大変、ということもあります。
どんなメリットがあるのかをしっかりと考えましょう。
観点⑤:中止の観点
やる必要のないことをやめてしまいます。
- 何となくやっている作業はないか?
- 「なぜこれをやるのか?」に答えられないものはないか?
- 別の方法に切り替えられないか?
などを考えます。
中止するのは大きなメリットが得られることが多いので、どうしてもやらなければならないもの以外をやめてしまうつもりで、一つ一つ見ていきましょう。
観点③~⑤の動作、繰り返し、中止の観点は、共通するのは、普段の自分が何をどうやっているのかを見直してみることです。
この辺は次の記事が参考になります。
やめる事に関しては、こちらの記事が参考になります。
観点⑥:過剰の観点
多すぎるものを減らしていきます。
- 在庫、予備品は多すぎないか?
- 不必要な情報まで回ってきていないか?
- 何でも紙に印刷しないとダメか?
- 同じことを何度も記入していないか?書式は変えられないか?
- 不必要に繰り返していることはないか?
- 過剰な品質、機能の製品、材料、設備はないか?
などを考えます。
観点⑦:作業目的の観点
そもそもの作業の目的を考えます。
- 何でこの作業をするの?
- 作業の目的は何なのか?
- 目的から外れたことはないか?
などを考えます。
これも、作業の根本を覆す改善につながるので大きな効果が出ることがあります。
観点⑧:生産条件の観点
温度条件やスピードなどを変えられないかを考えます。
- もっと温度を下げられないか?
- もっと無理なく採れる条件はないか?
- もっとスピードをあげられないか?
などを考えます。
これは、それなりの効果が期待できますが、品質に影響することがほとんどなので、とても難しいです。
でも、生産条件に穴があれば、大きな効果を期待できます。
観点⑨:情報の観点
報告書、日報、生産依頼の情報などの観点から考えます。
- どの情報がもっと早く来ればより良く出来るか?
- 不必要な情報を出していないか?
- 不必要な情報を受け取っていないか?
- 書式を改造できないか?
などを考えます。
これは、他部署に関わる情報も多いので、改善するのはちょっと大変ですが、情報を少しいじるだけで大きな効果が出ることもあります。
観点⑩:仕組みの観点
誰が、いつ、どのようにが決まっている内容を見直します。その目的をしっかりと考えることで仕組みの改善を行うことが出来ます。
- 情報がいつ、どこから来るのか?どうなれば良いのか?
- いつ、何をやるのがベストなのか?
などを考えます。
これは、自分以外の仕事に影響を及ぼすので、大変ですが効果も大きいです。
観点⑪:設備・工具の観点
設備や工具がどうなればいいのかを考えます。
- この設備・工具は何が出来て、作業の目的は何なのか?
- どうしてこの設備・工具じゃなければいけないのか?
- この設備・工具以外で目的を果たせるものは他にないか?
- 壊れやすい部分、使いにくい部分はないか?
などを考えます。
小さい工具なら簡単ですが、大型のものや設備になると、どうしても金がかかってしまいます。
しかし、それを回収できるだけの効果が出ることがほとんど(出ないなら金も出ない)なので、効果も大きいです。やりがいもあります。
観点⑫:異常・正常の観点
正常と異常の違いを考えます。
- なぜ異常が起こるのか?
- 正常時との違いは何か?
- 異常が起きないようにできないか?
- 異常が起きてもロスが出ないようにできないか?
- すぐにリカバリーできる様にならないか?
などを考えます。
製造現場は異常との戦いと言っても過言ではありません。
是非取り組みたいところです。
観点⑬:材料ロスの観点
材料のロスを減らす方法を考えます。
- なぜロスが発生するのか?
- どこでどれだけ発生するのか?
- 再利用できないか?
- ロスが出ない為には何を変えないといけないか?
などを考えます。
材料ロスはどこでも重要視されていますが、製造の終わりなき課題でもあります。
もう一度見直すことで何か発見があります。
観点⑭:材料検討の観点
材料を変えられないかを考えます。
- もっと安い材料はないか?
- もっと作りやすい材料に変えられないか?
- もっと性能の高い材料を使えないか?
- 過剰な品質の材料はないか?
これはもろ品質に直結する部分ですので、慎重に行わなければなりません。
いっけん材料費が上がったとしても、その分ロスが減って全体としてはプラスになる、ということもあります。
一概にコストアップを理由に断念してはいけません。
観点⑮:時間の観点
何に時間を使っているかを考えます。
- 時間ロスは何が多いか?
- 自分は何に時間を取られているか?
- どうすれば時間ロスを減らすことが出来るか?
- 人手をかければ合計の時間を減らせないか?
などを考えます。
なかでも、私が重要視しているのは、「自分が何に時間を取られているか?」です。
実際に時間を取られている内容と自分が思っている内容というのはかなり違います。
自分が何に時間を使っているかを知る為に、自分の行動に記録を付けてみるのをお薦めします。
これも改善提案に出来るのではないでしょうか?
詳しくはこちらの記事で解説しています。
ドラッカー先生もその著書の中で時間の重要性について触れています。
観点⑯:場所の観点
どこの場所を改善するかを考えます。
- 他部署も使用する共用スペースで改善ポイントはないか?
- どこでもっとも作業しているか?
- 場所の移動はどれだけしているか?
などを考えます。
共用スペースというのは皆が遠慮して手つかずになっていることも多いので、狙いめです。
もちろん、実施する前に他部署の人にも話を通しておきましょう。
観点⑰:気持ちの観点
「面倒くさい」と思う部分を考えます。
- どの仕事が一番面倒くさいか?
- 嫌な仕事はどれか?
- 面倒な仕事を楽にできないか?
- 嫌な仕事をやらないで済むようにできないか?
などを考えます。
嫌な仕事はやりたくないので、どうすればその仕事自体を消滅させられるかを考えます。
他人に押し付けるという意味ではありませんのでご注意を(笑)。
観点⑱:お金の観点
どこにお金がかかっているかを考えます。
- 何にお金を使っているか?
- 修繕費・消耗品費で最も使っているのは何か?
- もっと安いものに変えられないか?
- 電気代はいくらか?
- お金がかかっているけど自分が知らない部分はないか?
などを考えます。
よくある経費削減ですね。
逆に高いものを買って、購入頻度を減らす、というのもアリですね。
これも細かく見ていくと意外な物に大金を払っていたりするので、見つかると面白いです。
観点⑲:品質の観点
品質です。
- 品質異常はどこで発生しているか?
- 何が原因で発生しているのか?
- なぜ発生するのか?
- なぜばらつくのか?
- 品質を上げる方法はないか?
などを考えます。
難しい課題が多いですが、やり切った時の達成感も大きいです。
一つ一つしっかりと確認をして進めましょう。
観点⑳:エネルギーの観点
エネルギーはどこにどれだけ使われているかを考えます。
- 電気代はいくらなのか?
- 最も電気を使っているのはどこか?
- ガスはどうか?
- 蒸気はどうか?
- コンプレッサーエアーはどうか?
- もっとエネルギーを使えば効率を上げられないか?
結構見逃してる人が多い印象を受けます。
エネルギーロスを防ぐことは金額にも直結します。
以上の20個の観点から見れば、何かしらの改善提案のネタが見つかると思います。
もし見つからない場合は別の問題がありますので、それは後述します。
これ以外にも観点はあるが…
観点が重要なのではなくネタを見つけるのが重要なので、これに縛られること無く自由な発想でネタ探しをするのが良いと思います。
このようにして、改善提案のネタはいくらでも見つけられます。
ネタを見つけた後の改善の進め方に不安がある方はこちらが参考になると思います。
それでもネタが見つからない場合の対処法
20個の観点を見てもネタが思い浮かばないとすれば、原因が2つあります。
原因①:知識がない→対処法:知識を付ける
1つ目は、それぞれの「知識がないこと」です。
例えば、エネルギーのことを思い浮かべても何も思いつかないなら、「そもそもエネルギーのことを知らない」のです。
知らなければ、当然何も見つけることはできません。
だったら…
「知らないなら、知ればいい」
これだけです。
- 何にエネルギーを使っているのか?
- そもそもエネルギーはどのようにして使われるのか?
- このエネルギーにいくら払っているのか?
こういったことを調べていけばOKです!
色々なことを勉強すればするほどネタというのは見つかります。
きっとまだ私も知らない観点があるはずなので、それを見つけるためにも日々勉強していこうと思います。
原因②:気持ちで負けている→対処法:覚悟を決める
そして、もう1つは実はネタは見つかっているのですが、実行するのをためらっている場合です。
大掛かりであったり、周囲に反対されたりと色々な理由がありますが、自分で「無理」と判断しています。
不安を感じていたり、面倒だと思う気持ちも分かります。
でも、本気でやろうと思えばできるのではないですか?
そんな状況ならこの記事がオススメです。
改善提案とはなぜ必要なのかを改めて考える
最後に、「なぜこんなに改善提案を出せと言われるか」を改めてもう一度考えてみましょう。
これをしっかりと理解しているかどうかで自分の中での改善の重要度が変わり、改善の進むスピードも段違いに変わります。
改善提案とは、会社の仕事の中でも非常に重要な仕事です。
私は最重要といっても差し支えないと思っています。
もちろん、「生産」することの重要性はあなたもご存知の通りです。
モノづくりをすることは、言うなれば今を生きるために必要なことです。
これなしには今晩の飯が食えません。超重要です。
いっぽう、改善提案とは未来を生きるために必要なものです。
「10年後に会社がつぶれてもOKですか?」
この答えが改善提案が重要な理由です。
生産することと改善することのどちらが重要かと聞かれれば、どちらも重要としか言えません。
「生きるためには水と空気のどちらが重要ですか?」という質問と同じです。
そして、改善提案が重要なのは「変化に対応する力」が身に付くからです。
日々改善をして変化することが当たり前になっていないと、「変える力」が身につかないのです。
変化への対応を迫られてもどうすることも出来なくなってしまうのです。
こんな風にならない為に、日々改善提案をしっかりと行なうことで実力をつけていきましょう。
もしかしたら、「こんな小さい改善ごときで未来なんか作れるわけないだろ」と思うかもしれません。
そんなことはありません。
小さなことを積み重ねることこそ大きな改善になりまし、そうしないと実力もつきません。
それでも自分のやっている改善が「小さな改善」だと思うなら、もっと「大きな改善」をしたらいいだけです。
「小さな改善」じゃなきゃいけない理由なんてないのですから。
とまあ、以上のような理由で改善は非常に重要です。
最後に
ネタ探しの方法は一度身につけると、あとで困った時にすぐに使えるので非常に便利です。
さらに、日々考えていると、気付いた時にストックできるようになり、ネタに困ること自体が無くなります。
毎日、何が出来るかを考えて過ごすのは面白いですよ。
もちろん成果も上がるので評価も良くなりますし、オススメです!
改善活動にみんなで本気で取り組んでほしい…。そんな風に思っているあなたには、こちらの記事も参考になるかもしれません。
明日の為に、どんどん改善していきましょう!
それでは、今日も一日ご安全に!