ドラッカー マネジメント

「経営者の条件③第2章 汝の時間を知れ」の解説【ドラッカー名著集1】

この記事では、ドラッカーの名著①「経営者の条件」を解説しています。

 

こちらの序章、第1章に引き続き、今回は第2章の「汝の時間を知れ」の解説をしていきます。

「経営者の条件①序章 成果をあげるには」の解説【ドラッカー名著集1】

「経営者の条件②第1章 成果をあげる能力は修得できる」の解説【ドラッカー名著集1】

 

 

 

 


この章のポイント

 

今回の第2章のポイントとなるのは、「時間の使い方」です。

最も貴重な資源である、「時間」の使い方について、時間管理の3つの基本プロセスを解説しています。

時間の使い方の3つのプロセス

  • ①:時間の使い方を記録する
  • ②:時間の使い方を整理する
  • ③:時間をまとめる

 

①の「記録する」で、自分の時間の使い方を知ります。

②の「整理する」で、不必要な事をやめ、時間を浪費する原因に対処します。

③の「まとめる」で、空いた時間をまとめ上げて、成果のあがる重要な仕事に集中します。

 

これらを「どのようにすれば良いのか?」を解説しているのが第2章です。

 

「第2章 汝の時間を知れ」の概略

 

第2章では、次の流れで話が進みます。

 

第2章の流れ

  • ①:時間の重要性
  • ②:必要な時間について
  • ③:時間の使い方の診断方法
  • ④:時間浪費の4つの原因
  • ⑤:自由になる時間をまとめることについて

 

①:時間の重要性

第2章では、冒頭から次の言葉が出て来ます。

 

私の観察では、成果をあげる者は仕事からスタートしない。
時間からスタートする。
計画からもスタートしない。
時間が何に取られているかを明らかにする事からスタートする。

 

仕事を行う上で最も重要なのは時間です。

時間は金(カネ)やモノのように借りたり、雇ったり、買ったりする事が出来ません。

にもかかわらず、多くの人は時間への特段の配慮もなく使用しています。

時間というとても希少な資源を大切に大切に扱う人が成果をあげる事が出来ます。

 

②:必要な時間について

全く成果につながらない事に時間を使っている事はないでしょうか?

全員が、少なからずあるかと思います。

 

もちろん、不要な事ならばやめれば良いですが、中には成果につながらないけれど、どうしても無視する事も出来ないものもあります。

こういった事に日々どうしても時間は取られていってしまいます。

 

その他にも、私たちは仕事を行う上で、「あげるべき成果が何なのか?何を期待されているのか?誰の為に行うのか?なぜ行うのか?」をしっかりと理解しなければなりません。

ただ漠然と、何となく仕事をしていたのでは、成果はあがりません。

成果をあげる為に、自らの目を、仕事から成果へ、専門分野から外の世界、すなわち成果が存在する唯一の場所たる外の世界へ向ける為の時間を必要とする。

その他にも仕事の関係に人間関係が絡んでくると、さらに時間が必要になります。

この様に、余計な事に時間を取られる事や成果をあげる為に必要な時間がある事を理解しておきましょう。

 

③:時間の使い方の診断方法

ここではまず、自分の時間の使い方を記録することについて触れています。

記憶は非常にあいまいなので、必ず記録するように注意しています。

これを最低でも年2回、3~4週間の間記録する事を進めています。

記録の取り方は何でもいいそうです。

 

私もこの記録を取ったことがありますが、無駄の多さに気付けました。

「やらなくていい事、成果につながらない事によくこれだけ時間を使っていたな。」と呆れる程でした。

やってみるとびっくりしますよ!

 

その記録を見て、非生産的な仕事への次の3つのアプローチを考えていきます。

 

非生産的な仕事へのアプローチ

  • ①:やめる
  • ②:他の人でも出来る事は他の人にやってもらう
  • ③:自分で取り除ける原因を取り除く

 

それぞれ解説していきます。

 

①:やめる

まずは、する必要のない仕事、何の成果にもつながらない仕事をやめてしまいましょう。

自分が行っている、全ての仕事で、「これを全くやらなくなったらどうなるのか?」を考え、問題ないならやめましょう。

どうしても必要だったなら、また再開すればOKです。

 

②:他の人でも出来る事は他の人にやってもらう

続いては、どうしても自分でないと出来ない仕事以外は、他の人にやってもらうことを考えましょう。

絶対に自分でないと出来ない仕事というのは実際はほとんどありません。

 

しかし、あなたがやるのが最も成果が上がる仕事と言うのは少なからずあると思います。

そういったあなたの強みが生かせる仕事に集中する為に、他の人が出来る仕事は他の人にやってもらいましょう。

 

③:自分で取り除ける原因を取り除く

その他にも、自分が原因で時間を浪費する様な事が上がれば取り除いていきましょう。

どんな仕事がそれにあたるかは、周囲の人に次の質問をすることでわかると書いています。

 

「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを私は何かしているか?」と定期的に聞けばよい。
答えを恐れることなくこのように質問できることが、成果をあげる者の条件である。

 

こういう質問が出来ない人って結構いると思います。

こういう事を素直に聞けるような人間でないと成果を上げることはできないのでしょうね。

どの本か忘れましたが、マネジメントに必要な唯一の素質をあげるなら「誠実さ」と書いていました。

まさに、こういう質問は「誠実さ」を持った人でないと出来ませんね。

 

以上の3つのアプローチで非生産的な仕事に対応していきます。

 

④:仕事のやり方以外の時間浪費の4つの原因

先ほどの3つのアプローチはあくまでも自分の仕事のやり方についての無駄でした。

しかし、それ以外にもマネジメントと組織構造の間違いに起因するものもあります。

その原因が次の4つです。

 

仕事のやり方以外の浪費原因

  • ①:システムの欠陥や先見性の欠如
  • ②:人員過剰
  • ③:組織構造の欠陥
  • ④:情報に関わる機能障害

 

順に解説します。

 

①:システムの欠陥や先見性の欠如

これは、繰り返される混乱やトラブルです。

 

例として挙げているのは、毎年期末に起こる在庫管理の混乱などです。

こういったものは、予防するか、日常業務として事務的に処理できるようにするところまで落とし込むことで時間を取られないようにしましょう。

 

②:人員過剰

人が多すぎると互いに作用しあうことに多くの時間がとられてしまいます。

組織の上層の人たちの仕事の1割以上が人間関係、反目、摩擦、担当、協力などに関わる問題にとらわれていたら、人が多すぎてお互いが邪魔をしています。

 

③:組織構造の欠陥

組織構造に欠陥があると余計な事に時間を取られてしまいます。

この場合の兆候として表れてくるのが、「会議の過剰」です。

 

会議が無いと決まらない、情報が伝わらないなどが起こるのは組織の構造に問題があるからです。

一社員では組織構造をいじるのは難しいかもしれませんが、「会議自体を原則でなく例外」と意識しておきましょう。

 

④:情報に関わる機能障害

最後が情報です。

本来必要である情報でなく、別の情報が回ってきていることなどにより、余計な時間を取られてしまいます。

 

例えば、経理で必要なデータを経理が作成しているにもかかわらず、製造でも同じデータを別で作成していることなどはよくあります。

両方とも同じデータを作るなら、どちらか片方が作れば事足ります。

 

この様に「情報」にまつわる時間の浪費もあります。

 

⑤:自由になる時間をまとめることについて

それぞれの原因や対処法を見つけたら、時間管理の最終段階に入ります。

成果をあげるには細切れの時間ではなく、まとまった時間が必要です。

そのまとまった時間をつくるために、仕事の順序を入れ替えていくのです。

 

本書では、会議の日を月曜と金曜にまとめるとか、在宅で仕事をする日を作るなどの具体例も挙げています。

しかし、重要なのは具体策よりも時間に対するアプローチを考える方が重要であると言っています。

要するに、成果をあげる重要な仕事の時間が、急遽舞い込んでくる仕事によって奪われない様にするのが重要です。

 

アプローチは確かに重要ですが、もう少し具体的な話も欲しい方は次の記事をどうぞ。

具体例として、私がやってきた時間の効率化の記事です。

【基本的だけど効果絶大!】仕事の効率を上げる3つの手順と注意点!

 

以上のような流れで、時間の重要性や、時間を作る方法を解説しているのが、「第2章 汝の時間を知れ」です。

 

最後に、第2章で出てきた私の好きな言葉がありますので、そちらも紹介しておきます。

よくマネジメントされた組織は日常はむしろ退屈な組織である。
そのような組織では、真に劇的な事は昨日の尻ぬぐいの為の空騒ぎではない。
それは明日をつくるための意思決定である。

 

ついつい流されて時間の使い方を非効率にしてしまいがちですが、しっかりと時間を死守して成果のあがる仕事をどんどんこなしていきましょう!

 

第3章はこちら。

ドラッカー名著集①「経営者の条件-第3章 どのような貢献ができるか」の解説

 

 

 

それでは、今日も一日ご安全に!

 

 

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