こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 安全方針とは?
- 安全目標とは?
- 安全方針と安全目標を絶対作るべき理由
- 安全方針と安全目標の作り方とポイント
安全関係についても色々な取り組みを行い、災害頻発現場を7年以上無災害に導いた実績もあります。
安全関係の対策を考えている人のよくある悩みとして、「ほかにどんな対策をすればいいのだろうか?」という点があると思います。
私自身、安全の色々な対策をしてきました。
それぞれの対策はある程度の効果を発揮してはいましたが、何かが足りないような気がしてまた対策を考える、の繰り返しでした。
あとになってわかった事ですが、ある視点が抜けていたのです。
それは、「全体像を見る」視点です。
この視点を持つことによって、すでに行っている一つ一つの安全対策の目的が明確になりました。
そして、他にどんな対策が必要になるのかが分かるようになります。
全体像の把握についてはこちらの記事になります。
まだ読んでいない方は先にこちらを読む方が理解しやすいです。
そして、全体像を把握できると、何をどうすべきかが見えるようになります。
本記事の安全方針と安全目標を掲げることで、何をどうすべきかが職場に浸透させられます。
今回の記事では、そんな「安全方針と安全目標」について解説します。
一人でも労災で苦しむ人が減ればと思い、これを解説したいと思います。
目次
安全方針とは?安全目標とは?
安全方針とは?
「安全方針」は正直なところ、あまりなじみ深いモノではないと思います。
まず、「方針」とは次の意味になります。
方針
「目標を達成するための活動の方向づけや制約条件のことをさす。
つまり、安全方針とは次のような意味になります。
安全方針とは
安全目標を達成するために行う対策の方向付けや制約条件のこと。
「安全のために、こういう考え方で取り組んでいく」という方向性。
「こういうことをする」、「こういうことはしない」という制約条件。
要するに、安全方針とは安全目標達成のためにどういう方向性で考えるかを明確にするものです。
しかし、方向性だけ示しても実践が伴わなければ何の意味もありません。
ですので、安全方針を掲げる際には次の3つを入れ込みます。
- 項目①:安全方針
- 項目②:安全目標
- 項目③:実施項目
これらをまとめ上げて安全方針とします。
安全目標とは?
もう1つの言葉である「安全目標」も解説します。
安全目標とは
安全関係で達成したい最終的な結果のこと。
具体的には「1年間無災害達成」などになります。
(もちろん、5年でも10年でもOKです!)
要するに、安全目標で達成したい状態を明確にし、安全方針でそれをどんなふうに達成していくのかを明確にします。
そして、その為に具体的にどんな実施項目を行っていくのかを明確にして職場に掲げます。
これをすることで、どうやって安全目標を達成すれば良いのかが職場に浸透するのです。
安全方針と安全目標を掲げるべき理由
これは、安全に限った話ではないのですが、職場として複数の人間がいる状態では考え方は人それぞれになり、対策も人それぞれになってしまいます。
そうなると、それぞれの対策の効果が出なくなってしまう場合がよくあります。
例えば、個人の考える方針として次の相反する2つがあったとします。
- 理論はいいからとにかく実践的に危険な行動を防ぐ
- 理論をしっかりと理解して危険な行動を防ぐ
このような状態の中では、どちらを優先していいのかわかりません。
しかも片方で理論を唱え、もう片方で理論を無視するといったことでは、どちらも中途半端になってしまいます。
どちらも安全に効果のあることですが、この2つを両立することは難しいです。
こんなことにならないように、安全方針で方向性を示して具体的な実施項目を掲げることで、意識の統一をしていく必要があるのです。
安全方針と安全目標の具体的事例と各項目の解説
私が安全方針を作るなら次のように作ります。
それぞれ解説します。
項目①:安全方針
安全方針はただ単に無災害を達成すれば良いのではなく、「どんな考え方で無災害を達成していくのか?」を入れます。
例えば、怪我をしない為だったら毎日ボロクソに怒られる必要がある。
こんなのだったら、皆が積極的に無災害を達成したいとは思えないですよね。
そうではなくて、皆が積極的にかかわりたくなるような方針を立てていきましょう。
もちろん、職場の考え方によって変わりますが、私だったら「お互いが助け合う」、「安心できる職場」を達成しながら安全を目指していきたいです。
「こんな風に目指していきたいよね」と、職場の皆が共感できるような内容にしましょう。
項目②:安全目標
目的は具体的な到達地点を表します。
基本的には「無災害の達成」になるかと思います。
具体的に目指す部分なので、「今期無災害の達成」とするのが良いと思います。
もちろん、「今期」でなく「5年間」でも「10年間」でも良いです。
しかし、現状と比べてあまりにも無謀だと思う目標を掲げてしまうと、目標を達成する気力が出なくなります。
ですので、現実的に達成させられるかどうかも含めて考えましょう。
項目③:実施項目
実施項目は目標を達成するために具体的に何を行っていくかです。
方針の考え方に沿って実施項目を決めていきます。
具体的にどんなことを実施していくかを見つけるには、こちらの記事で解説しています。
ここではざっくりと書いていきます。
まずは、全体像の把握です。
単発でKYTやリスクアセスメントを行うのではなく、災害を発生させないために「どんな対策を取るべきか?」を考えていきます。
災害は次の2つのどちらか、もしくは両方が存在することで発生します。
- 不安全な状態(環境)
- 不安全な行動(人間)
この2つを防ぐには次のような対応が必要になります。
不安全な状態
- ①:危険な場所を無くす、作らない
- ②:異常が発生すると危険な場所になる
不安全な行動
- ①:何が危険な行動かを知る(知識)
- ②:危険な行動を取らない意識を持つ(意識)
- ③:危険な行動をとらない、とらせない(徹底)
これら1つ1つの原因をつぶしていくにはどんな対策をする必要があるかを考えて、具体的にどんなことをしていくのかを決めます。
もちろん、全部をやる必要があるわけでなく、自分の職場に現状足りていない部分を補う対策を選びます。
もう一度、実施項目の部分だけ載せます。
実施項目は次の4つに項目を分けて、それぞれ目標となる対策を入れていきます。
- 1.知識の習得
- 2.危険箇所への対策(行動)
- 3.意識の向上
- 4.行動の徹底
そして、その対策を行う目的と担当者と実施時期を決めます。
この部分で注意するのは、しっかりと「行動」にまでつながる様にしておくことです。
- 対策の内容が抽象的だったり
- 誰が担当なのかはっきりしない
- どう行動して良いのかがわからない
といった内容だと、対策は実行されないと思ってください。
ですので、実際に担当する人間がいつ、何を、どのような目的でするのかをしっかりと理解できるようにしましょう。
安全方針と安全目標を周知、実行する
安全方針を作成したら、次はそれを職場の人が毎日見る場所に貼りだして周知します。
いきなり貼りだしても周囲の人は意味が解らないので、なぜ安全方針を掲げたのか?を説明します。
内容としては、次のような話をすれば大丈夫です。
- 無災害を達成する為に単発の対策では防ぎきれない。
- だから、全体像を把握した。
- 全体像の中で、自分の職場に必要な対策をピックアップした。
- それらを行う事で無災害を達成する。
- こういった全体像を皆にも把握してもら為にこうやって貼りだした
- 無災害を達成しよう!
このようにして安全方針を作り、「皆で無災害を達成していきたい」という思いを伝えることで、これまでとは違った安全への向き合い方が出来ると思います。
そして、これを本気で取り組んでいくことで職場一丸となった本気の対策になります。
もちろん、この通りの方針を作らなくてはならないわけではありません。
でも、このように全体を把握したうえで自分の職場に必要なことをまとめているので、とても役に立ちます。
だから、安全方針を作成して、皆で一丸となって無災害を達成させましょう!
その他にも、安全関係の役立つ記事を紹介します。
こちらの記事では、現場の危険な箇所を減らすことについて書いています。
リスクアセスメントのやりかた、ポイントを解説しています。
KYTの進め方とお薦めのイラスト準備方法を解説しています。
安全関係の情報収集なら、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」がオススメです。
無災害記録の付け方を解説しています。
それでは、今日も一日ご安全に!