こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 「安全第一」、「安全最優先」が建前になった状態とは?
- 「安全第一」、「安全最優先」が建前になってしまう2つの原因
- 「安全第一」、「安全最優先」を建前でなく本音で取り組む為の2つの対策
安全関係についても、各種対策を進めていき、毎年災害が発生していた職場を無災害7年以上(現在進行形)に導いたこともあります。
安全第一、安全最優先が建前であると感じている人の悩みとして、「安全をどう捉えたらいいの?」という点があると思います。
私の職場は「安全なんて建前だろ」という考え方の人や「安全が大事なのはわかるけど、生産性がね…。」という考えの人が多い職場でした。
怪我が起こっても、「よくある事で、大きな怪我にならなくてよかったね」という認識の人もいました。
こうした職場の中で、安全とどう向き合えばいいのかに悩みましたが、怪我を見たくなかった私は色々と考えました。
そして、安全が建前にならずに本音で向き合える方法を見つけました。
そこで今回は、安全第一、安全最優先を建前にせず、本音で向き合えるようになる方法を解説したいと思います。
目次
「安全第一」、「安全最優先」が建前の状態とは?
まずは、「安全第一」、「安全最優先」が建前の状態がどういうものかを整理します。
安全第一が建前の状態とは?
安全性よりも、その他の行動を優先してしまうこと
表向き「安全第一」ではないとは言えないが、実際には生産性やその他のことを優先している状態
皆さんご存知のように、ほぼ全ての企業が安全第一、安全最優先を掲げています。
しかし実際には、安全第一、安全最優先とは名ばかりで、生産性第一の職場も多いと思います。
さすがに、「生産性第一です」と明言する会社はないでしょう。
しかし「怪我は嫌だけど、生産性を犠牲にしてまで安全確保してたらやっていけないよ」と思っている職場は多いのではないでしょうか?
要するに、こういった生産性やそのほかの事を安全よりも優先してしまっている状態を「安全が建前になった状態」といいます。
ちなみに、「安全第一」の言葉は、アメリカの「USスチール」という企業のスローガンが始まりだそうです。
当初は、「生産第一、品質第二、安全第三」でしたが、1906年にUSスチールの当時の経営者が「安全第一、品質第二、生産第三」に変更しました。
そして、それにより労災を減少させることに成功しました。
USスチールは世界的な企業だったので、この考え方が世界的に広がったようです。
安全第一、安全最優先が建前になる原因
安全よりも他の事を優先させてしまった状態になるには2つの原因が考えられます。
それが次の2つです。
安全が建前になる原因
- 原因①:安全第一、安全最優先に対する意識が低い
- 原因②:安全第一、安全最優先の行動を取るにはデメリットがある
簡単な例でいうと、「面倒くさくてルールを破ってしまい、怪我をしてしまった」です。
- 面倒くさくても安全のためだという意識が高ければルールを守ります→原因①
- ルールが面倒くさくなければ意識が低くてもルールを守ります→原因②
この例のように、意識の高さと面倒臭さのどちらが勝つかで、安全が守られるかどうかが決まります。
それぞれの原因をもう少し深掘りしていきます。
原因①:安全に対する意識が低い
安全に対する意識が低いのは、言い換えれば「本気で安全を考えていない」ということです。
怪我をした場合にどうなるかが想像できないので意識が低いままでいられるのです。
意識の低さが見える例
- そもそも怪我してもいいと思っている
- 怪我するのが当たり前
- 怪我したのに笑ってる
- 怪我は「勲章」と思っている
こんな状態ではもちろんダメです。
安全よりも他のことを優先してしまいます。
本音で「怪我しちゃいけないんだな」と思うようにならなければいけません。
原因②:安全な行動を取るにはデメリットがある
安全な行動をとることにデメリットがある場合にも、他のことを優先してしまいます。
デメリットには「面倒くさい」と「生産性が落ちることを嫌う」の2つがあります。
「面倒くさい」については説明するまでもありませんので、省略します。
誰だって生産性を落としたくない
生産性を落としたくないのは当たり前です。
落としたくないなら「生産性を落とさずに安全を確保する方法」を考えればいいのですが、そんなに簡単に上手く行かないのも現実です。
だから生産性を落とすのを嫌うあまり、安全第一、安全最優先を放棄して生産性第一をになってしまうのです。
しかし、ここで一つ注意点があります。
注意
生産性を落としてはいけないと思い込んでいるだけの場合がある
「生産性を絶対に落としてはいけない」と、単に自分や上司がそう思っているだけ、という場合があります。
会社としては安全性を優先してもらいたいのに、各個人が良かれと思って生産性を優先しているのです。
自分や自分の職場がこういった勘違いしていないかを一度考えてみましょう。(実は私もそうでした。)
もちろんそうではなく、会社自体が生産性を優先させているということもあるかもしれません。
しかしそれはそれでこのご時世非常にマズイです。
早めにその会社に見切りを付けましょう。
安全第一、安全最優先を建前にしない為の2つの対策
対策は次の2つです。
先ほどの意識が低いこと、デメリットがあることの原因2つをそのまま対策していく形になります。
安全を建前にしない対策
- 対策①:意識を強化する
- 対策②:デメリットを減らす
対策①:意識を強化する
安全第一、安全最優先の意識を強化します。
本音で「絶対に怪我しちゃいけない」と言えるようになりましょう。
その為にはこちらの記事がオススメです。
「何で怪我しちゃいけないの?」という当たり前すぎる質問について改めて考えています。
当たり前すぎて考えたことがない人は是非一度読んでみてください。
会社の建前でなく、本音で困る理由を書いています。
こちらは私のツイートです。
安全について少し語ってみよう。
工場で働いていると最も重要なのが「安全」です。
「何でケガしちゃいけないか?」
って考えたことありますか?答えは「誰も喜ばない」からです。
「死ぬんですよ」人は。
だから絶対ケガしちゃいけないんです。#安全第一 #無災害 #労災
— 現場マン@2億円改善 (@genbaman_Flearn) August 16, 2020
このように、本音で困る理由を挙げていくと、否が応でも安全第一、安全最優先への意識は高まります。
建前ではなく、本音で思っていることを考えてみましょう。
また、少しはズレれますが、上司が生産性を優先すると、部下も安全優先にはなりません。
「上司よりも安全を優先する部下はいない」くらいのつもりでいましょう。
対策②:デメリットを減らす
これは、言い換えれば「やれることをやる」になります。
たとえ生産性を落として安全を優先することになっても、少しでも生産性を落とさないように対策を考えましょう。
面倒くさいことも、少しでも簡単にできる方法を考えましょう。
安全のためにやれることは他にもあるはずです。
やれることをやらないで、「生産性が落ちます」では、心情的にも「安全」が迷惑なものだと認識されかねません。
また、安全性の為にロスばかり出して、利益の出ない状態になっても意味がありません。
給料がもらえなくなったら困ります。
「これだけやったなら生産性がある程度落ちても仕方がないな」と思えるくらいまでやれることをやりましょう。
そして「やれない事」もすぐにあきらめるのではなく、「どうすればできるのか?」を常に考え続けましょう。
そうやって、安全と向き合いながら生産性を上げていくのが私たち工場の人間の仕事です。
最後に
災害を防ぐ為には、結局はやれることをやっていくしかありません。
魔法の技や近道はありません。
必要なのは「やる覚悟」だけです。
一つずつ対策を積み重ねて、無災害を達成しましょう!
安全についての対策をもっと知りたい方はこちらの記事がオススメです。
安全は対策を取るべき全体像を把握してから個別の対策を取りましょう、と言うお話です。
それでは、今日も一日ご安全に!