結局は手を動かすか動かさないかだよ!
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 安全対策に効果が出ない原因
- 安全対策の現状
- 最も効果があった安全対策の手順とその効果
ゼロ災を達成するにはどうすれば良いかもずいぶんと悩みました。
労災を減らすことに悩んでいる人のよくある悩みとして、「どうすれば労災を防ぐことが出来るのだろうか?」という点があると思います。
私の職場は残念ながら毎年労災を起こしてしまう職場でした。
その都度労災への対策は行うのですが、労災は手を変え品を変え襲ってきました。
どうしていいかわかりませんでした。
いい加減に労災を無くそうぜ!と、様々な取り組みを始める、安全についてもいろいろと調べるようになりました。
その結果、世間一般で行われているKYTなどではカバーできない部分にも気が付き対策を取りました。
もちろん、KYTが使えないということではなく、それだけでは足りないということです。
この「あること」を始めたことによって、労災を一気に減らす事が出来ました。
もちろん、「これをすれば絶対労災が起きない」というわけではないです。
しかし、あなたの職場にも同じような「抜け」があれば大きな効果を出す事が出来ると思います。
一人でも労災で苦しむ人が減ればと思い、私が見つけた方法を紹介します。
目次
安全対策に効果が出ない原因は「受け身」
まずは次の文を読んでみてください。
労災は誰も得をしません。
怪我した本人も痛いですし、家族も同僚も上司も心配します。
同僚も上司も対応に追われます。会社としてもダメージが大きいです。
だから、労災はあってはいけないことです。
今の文章を読んで、「よし、絶対に労災を起こさないぞ!」と心に誓った人はどれだけいるでしょうか?
「うんうん、確かにそうだね。」
これくらいの感覚で読んだのではないでしょうか?
冒頭でいきなりというのもありますが、大して心に響いていないのではないでしょうか?
これが安全教育のダメな部分です。
何がダメかというと、いまこの文章を読んだ時の状態は「受け身」なのです。
「安全意識が低い」とも言います。
どんなに周りが口を酸っぱくして安全について叫んだとしても、本人にその気がなければ効果が出るわけがありません。
それどころか、あまり口うるさく言い過ぎると、うんざりして余計に話を聞かなくなります。
だからゼロ災を達成するには、まずはこの「受け身」を変えて、安全意識を向上していかなければなりません。
「本当にケガしちゃだめなんだな…。」と心から思ってもらわなければなりません。
安全対策の現状と安全意識
では、現状の対策はどうなっているのでしょうか?
労災の安全対策と言えば、KYT(危険予知トレーニング)や安全体感機、安全標語(?)、などがあります。
どれも「これをやれば労災が減るぜ!」と思ってやっている人はほとんどいないのではないでしょうか?
受講者本人も、「言われたからやってるけど…。」という人の方が多いのではないでしょうか?
これらの対策は、その性質が「受け身」のままでも、表面上はやっていれば問題にはなりません。
しかも、こういった安全対策はマンネリ感があって受講者も「そんなことは分かってるよ。」と考えている人が大半です。
こんな状態では安全意識は向上しませんよね。
そして、もう一つ欠点があります。
これらの対策は「現場の危険なところが1つも減っていない」ことです。
まとめると、これらの対策では以下のようになります。
- 受講者はうんざりしている
- 受け身で済む対策なので、安全意識は向上していない
- これらの対策はすでに内容を知っており、新しい発見が少ない
- 現場の危険なところは1つも減っていない
もちろん、これらの対策にも一定の効果はありますが、これだけのデメリットがあるのではゼロ災達成は難しいですね。
最も効果があった安全対策
では、この「受け身」の状態から脱却する為にはどうしたらいいのでしょうか?
「自分の手を動かしてもらう」
これ以外にありません。
自分の手を動かすには自分で考えなくてはなりませんし、当然自分でやってみなければなりません。
手を動かす事で、自分の行動を正当化する為に「ケガをしてはいけない」と思うようにもなります。
KYTや安全体感機では得られない「自発的に考えて行動する」ことが出来るようになるのです。
具体的な安全対策としては次のようになります。
最も効果のあった安全対策の手順
- 手順①:安全がなぜ重要なのかを再度話をする
- 手順②:自分の職場の危険な箇所を探して対策する
- 手順③:朝礼などで対策した現場を見ながら報告をする
解説します。
手順①:安全がなぜ重要なのかを再度話をする
まずは、対策を始める前に改めて「労災を無くそう!」という話をします。
手を動かす事で、意識は向上しますが「なぜやるのか?」をしっかりと理解してもらう為です。
色んな安全対策でうんざりしている人もいるかもしれません。
「どうせまた同じような効果もあるかわからない事で手間かけされるんだろ?」と思っている人もいるかもしれません。
こういった人にしっかりと目的を理解してもらいます。
- 「これまでの対策は受け身で済むものだったけれども、現場の危険なところは何一つ減っていない。」
- 「それではおかしい。だから、1つでも危ない所を減らすんだ!」
- 「そうやって、労災の無い職場を作っていきたい。」
こんな感じで無災害達成への想いを改めて伝えましょう。
ここから全てを始めるつもりで伝えましょう。
手順②:自分の職場の危険な箇所を探して対策する
自分の職場の危険な箇所に対策をしてもらいます。
これは、次のような簡単にできる対策を行ってもらいます。
対策例
- 滑りやすい所に滑り止めを貼る
- 物が散乱していたら2Sをする
- 頭がぶつかりそうなところにクッションテープを貼る
- 壊れかけの箇所を直す
- 熱い所には直接触れないようにカバーをする
- 注意喚起をしたいところに表示を貼る、等々。
こういった事を定期的に行ってもらいます。
あまり負担をかけすぎても途中で廃れてしまうので、無理なく続けられるペースで行いましょう。
1人1人が2カ月に1箇所でもかまいません。これを何十年と続けていくのです。
対策の内容も5分もあれば出来ることでOKです。
とにかく、危険なところを見つけてそれを対処していくのです。
1個でも、少しでも危険な場所を無くしていくのです。
少しでも安全性を高めましょう。
難しい所をやる必要もありません。そういう場所は別で上司に相談すれば良いのです。
その手のグッズが色々ありますので、探してみてください。
手順③:報告してもらう
最後は、対策を行ってくれた人に報告してもらいます。
報告に手間をかけるのも本末転倒なので、直接現場を見に行くのがベストです。
直接現場に行く事で、担当者任せの雰囲気もなくせます。
頼んだ本人が人任せの受け身ではどうしようもないですからね。
あまり広い現場で直接見るのが大変であれば、どんな対策をしたか簡単に書いてもらえばいいでしょう。
とにかく、担当者任せでやりっぱなしにしない事が重要です。
また、やってくれたことに対して批判をしないようにしましょう。
最初は「えっ!?」と思うような対策をする人もいました。
でも手を動かしてくれたことは事実なのです。
だから批判する事よりも手を動かしたことを認めて、次に行ってもらいましょう。
この安全対策がもたらした5つのメリット
この危険な箇所を対策してもらう事で次のメリットが出ました。
- ①:現場の危険な箇所が減る
- ②:他の人の報告も見るので、危険な箇所を見る目が養われる
- ③:継続する事で安全のために行動するのが当たり前になる
- ④:自分の対策した箇所で自分が労災を起こすわけにはいかなくなる→意識が「ケガをしない」から「絶対にケガできない」に変わる
- ⑤:職場全体の取組にする事で、安全意識の高い職場が出来る→意識が「個人」から「職場」に変わる
このようなメリットが手に入ります。
これ、とても魅力的ですよね?
受け身で言われたことだけをする職場がこうなったら素晴らしいですよね。
それがこの安全対策では出来てしまうのです!
もちろん、これだけで労災の無い職場を達成する事は出来ません。
KYTや安全体感機なども良い所があるので、併用して安全への取り組みをしっかりと行なっていきましょう。
口だけでは効果は出ません。手を動かしましょう!
最後に
これは単純で、非常に簡単にできる方法です。
それこそ誰でも出来る方法です。
もし、あなたの職場が「安全のために手を動かす事」が行われていないなら、一度試してみてはいかがでしょうか?
きっといい結果が出ますよ!
これで、労災で苦しむ人が1人でも減れば私にとって最高の結果です。
また、安全に関しては、全体像を把握してから何をするかを考えた方が、抜けが無くなります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
その他の対策として、安全の情報収集をしてみませんか?
この質問に答えられますか?
職場の安全方針は作ってありますか?
KYTのやり方についての記事はこちらです。
では、今日も一日ご安全に!