こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 現場力とは?
- 現場力が上がらない現状の問題点
- 現場のあるべき理想の姿
- 現場力を上げる3つの具体的手順
現場力が低いと言われていた現場を立て直した経験もあります。
現場力を上げたい人のよくある悩みとして、「どうすれば現場力上がるのだろうか?」という点があると思います。
私は現場力を上げたいと漠然と思っていた時期がありました。でも、何をどうすれば良いのかわからずに、結局思うように動けなかったという経験があります。
そんな状態でも思いだけは伝えようと思い、職場会議を開いたり、職長と話し合ったりしました。
そうする中で色々なことが見えて来ました。
そしてそれを実践していくと、現場力は向上しました。
やらされ感満載だった職場が少しずつ変わり、行動力のある人たちが育ち、現場力が上がっていくのを見れたのはとてもうれしかったです。
この経験から「どうすれば現場力が上がるのか?」を見つけ出し、その効果も実証できました。
そこで、私が見つけた方法を解説しようと思います。
目次
現場力とは?
まずは、現場力の定義について解説していきます。
色々とイメージはあるかと思いますが、簡潔にまとめると次の通りです。
現場力とは?
現場力とは、現場が自主的に問題を発見し、解決する能力のこと。
現場とは、製造現場はもちろんそうですが、営業の現場、その他含めその仕事の前線のことも含みます。
営業の現場といえば、お客さんと接している所になるイメージです。
マネージャーの現場といえば部下と共に仕事を行うオフィスになるでしょう。
現場力を構成する「3つの力」と「やる気」
そして、現場でのトラブルや不具合への対処を自分たちで考え、実行していく力です。
この「現場力」は3つの力で構成されています。
それが次の3つです。
現場力を構成する3つの力
- 実行力
- 改善力
- 問題発見力
現場力を構成する力①:実行力
「実行力」は、何かを行う時にそれがしっかりと実行できる力があるかどうかです。
問題が起こって、対処方法が分かっていても、実行力が無ければ対処することはできません。
現場力を構成する力②:改善力
「改善力」は、問題を解決する方法を考え出す力です。
これが無ければ、どんなに実行力があっても何をしたらいいのかが分からないので問題に対処できません。
現場力を構成する力③:問題発見力
「問題発見力」は、何が問題かを見つけ出す力です。
これが無ければ、そもそも問題だと認識することが出来ないので何も対処できません。
この3つの力をそれぞれ持っていなければ、「現場力」を上げることはできません。
ですが、この3つは現場の人たちも必要性を感じているので、これらの力を伸ばしていくのはそこまで難しいことではありません。
モノづくり大国、品質大国日本と呼ばれただけあって、日本人は性質的にもこれらの力を伸ばしていくのが得意です。
現場力に最も重要なのは「やる気」
そして、最も重要なのが、この3つを支えるものである「やる気」です。
3つの力をすべて持っていても、その力を発揮するかしないかという選択肢があります。
たとえ力を持っていても、その力を発揮することが、「損」だと思ってしまえばその力が発揮されることはありません。
そうなってしまうと、「言われたことだけやろう」と考えるようになり、現場力はどんどん落ちていきます。
実際問題、「実力はあるのに現場力が低い」というのはよく見られる現象です。
現場力は強制された状態では、高いレベルで発揮されることはありません。
これは外から見たら高いレベルだとしても、その現場が本来持っているレベルには程遠いという意味です。
「仕事だから」、「命令だから」とやっているのでは最低限のレベルにしかなりません。
そうではなく、「やってやる!」だとか、「絶対にやりきる!」といった、強い気持ちが必要です。
この気持ちをコントロールして、現場力を高めていくのです。
どちらかと言うと、高いレベルの現場力を実際に発揮ししてもらう、という意味合いになります。
現場力が上がらない現場の問題点
極論を言うと「トップがアホかどうか」で全てが変わってきます。
どうしても地に足のつかない内容をトップが発信したり、無茶なことばかり言っていると、現場はアホらしくなって「やる気」がなくなっていきます。
そして、現場は「やらされ感」のある現場になってしまいます。
「そんな、トップ1人に振り回されるものか?」
と思うかもしれません。
もちろん、答えはYESです。
たかがトップ1人で現場力は大きく変わります。
そして、トップに振り回されて「やらされ感」が出てしまう要因としては、次の2つがあります。
やらされ感が出る原因
- 原因①:やる気を育てない
- 原因②:やる気をくじく
原因①:やる気を育てない
まずは、人のやる気を育てない点です。
次のようなものがあります。
- 安心感がない
- 信頼感が無い
- 求められているのが何かわからない
- 人を育てる気がない
こういった上司、最近増えているのではないでしょうか?
本来守ってくれるはずだと思っていた上司が、全く守ってくれない、あるいは先頭に立って責めてくる。
こんなことがあると当然安心なんてできませんよね。
そういった現場では、誰がどう考えたって「頑張ろう!!」なんて思えないですよね。
「自分が頑張ったなら、上司はきっと助けてくれる」
こうやって思える現場じゃないと挑戦する気になんてなれません。
原因②:やる気をくじく
やる気を育てないだけならまだしも、やる気を奪ってくる上司もいます。
本当、何のために上司がいるのかわからなくなりますね。
- 必要なモノを与えない(時間、金など)
- ホメない
- 仕組みがない
- 評価しない
- リスクを嫌う
こういった上司がいると、やる気のあった人々もどんどんやる気が無くなっていきます。
そして、気が付けば「言われたことだけやる現場」に成り下がってしまいます。
あなたももちろんそうだったと思いますが、最初はみんなやる気があったんです。
その時に自律した行動をとれるようにして、それを評価していたら、現場力はどんどん上がっていたのです。
もちろん、こういったことは、組織のトップのせいだけにするのは良くありません。
悪い部分はあるにせよ、自分がどう行動するかを決めるのは自分自身です。
しかし、現実にはトップの影響というのはとても大きいのです。
あなたが現場のトップに立つ立場なら、(もしくは先々トップに立つ予定なら)それはちゃんと理解しておきましょう。
現場の高い、あるべき理想の姿を考える
続いては、現場のあるべき理想の姿について考えていきます。
先ほどまで、現場力が落ちる原因について考えて来ました。
しかし、原因だけを見ていても現場力はあがりません。
現場力を挙げていくにはどんな現場にしていきたいかを具体的に考えていく必要があります。
要するに、理想の姿を描きます。
私がイメージする、理想の現場は、次のようなものです。
- 自分の仕事に誇りを持つ現場
- 現状維持ではなく、現状改善、現状破壊まで出来る現場
- 常により良い仕事を目指し、具体的に行動する現場
こういった感じです。
そして、理想の姿を描いた後に、それを実現するにはどんなことをしていく必要があるのかを考えていきます。
やっていくのは、基本的には地道な努力の積み重ねになり、「出来て当たり前」のことを増やしていくような形です。
とても地味な活動かもしれません。
でも、それが出来る現場がやっぱり強いのです。
現場力を上げる3つの手順
以上を踏まえた上で、現場力をあげる為に行っていく具体的な手順です。
まず、現場力を上げるというのは、持っている実力をもっと発揮してもらうというスタンスです。
現場に実力がないと思っている人は現場力を上げることはできません。
まずは現場をしっかり見てくださいとしか言えません。
そこだけは最初にはっきりさせてから解説したいと思います。
これが手順です。
現場力を上げる3つの手順
- 手順①:目標を認識する
- 手順②:手段を考える
- 手順③:実行する
解説します。
手順①:目標を認識する
現場力を上げるには具体的に何をどうしたいのかを認識しなければなりません。
このような言葉は、人によって受け取り方が違うので、1つ1つ具体的に何をどうしたいのか?を決めなくてはなりません。
私の職場では、次の2つを行うことにしました。
- 改善能力を上げたい→人から言われないでも自分たちだけで進められる
- 問題への対処力→すぐに上司に頼るのではなく、自分たちでやれるところはやる
このように、具体的に何をどうしたいのかをはっきりと示していかなければなりません。
職場の意見を取り入れる
「現場力を上げよう!」この言葉は割と現場の人にも浸透しやすく、思う所がある人が多いので意見が出やすいです。
ですので、ミーティングをするなどして意見を取り入れましょう。
自分たちで現場力を上げていく、という意識になりやすいのでオススメです。
もちろん、意見を聞くときに「ここは現場力が低い!」なんて言ってはダメです。
「あなたたちの力をもっと発揮できるようにしたい」とか、そういう聞き方にしましょう。
手順②:手段を考える
具体的な目標が定まったら、どうやってそれを達成するかを考えます。
ここは、それぞれ具体的な目標が見つかれば色々と思いつくことはあると思います。
また、現場に問いかけてみるのも有効な手段です。
「この目標を達成するには具体的に何をすれば達成できるかな?」と問いかけてみましょう。
現場力は現場の力なので、現場の人たちの協力無くしては達成できるはずがありません。
早い段階から巻き込んで、一緒に考えていきましょう。
私がこの手順で実施したのは、改善能力を上げる為に、現場に権限委譲することでした。
「自分たちのやるべきだと思う改善を思うように進めてください。年に数回だけ進捗報告してください。」
「ただし、成果には責任を持ってください。評価にも影響します。」
このように伝えることで権限を委譲し、改善を自分たちで進められるようにしました。
コツは、何をやらないか?
現場も日々忙しいので、新しく何かを始めようとしても、それに集中するほどの時間が取れない事がよくあります。
新しく何かを始めるのは簡単ですが、難しいのはやめることです。
その辺はこちらの記事が参考になると思います。
手順③:実行する
ここまで来たらあとは、地道に実行するだけです。
やるならやる、やらないならやらないをはっきりとしましょう。中途半端はダメです。
もちろん、決めたことを必ず実行していきますが、当然問題も発生します。
外野から邪魔が入ります。
私の場合、「改善能力UPの為に進捗報告は年に数回でいい。」と伝えておきながら、あとから上司に「毎月報告しろ」と言われたことがあります。
小さいことですが、この辺をいきなり覆すと信頼も何もないと思い、そのまま年に数回の報告だけにしました。
現場のことはある程度見えているので、毎月の報告はそれでうまくごまかしました。
この時はそんな対応を取りましたが、現場にごめんなさいして毎月報告してもらう形にするものアリだと思います。
要はどれだけ本気であっても、覆さないといけないようなことは起こるので、覆したとしても本気であることだけはしっかりと伝えましょう。
最後に
以上のような手順で現場力を上げる事が出来ます。
もちろん、楽なことではありません。それなりの根性や情熱が必要不可欠です。
でも、現場力が上がることによってどれだけ良くなるかをしっかりと想像しておけば頑張れると思います。
最初は現場からの反発もあるかもしれません。いろいろ言われるかもしれません。
でも、やり切ったら絶対にやって良かったと実感できますので、ぜひやってみてください。
現場力のカテゴリに入る中で、「改善活動」があります。改善の進む職場というのは現場力が高い職場といっても差し支えありません。
こちらの記事も参考になると思います。
それでは、今日も一日ご安全に!