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「経営者の条件⑧第7章 成果をあげる意思決定とは」の解説【ドラッカー名著集1】

この記事では、ドラッカーの名著①「経営者の条件」を解説しています。

 

今回は第7章の「成果をあげる意思決定とは」の解説をしていきます。

 

初回はこちら。

「経営者の条件①序章 成果をあげるには」の解説【ドラッカー名著集1】

 

前回はこちら。

「経営者の条件⑦第6章 意思決定とは何か」の解説【ドラッカー名著集】

 


この章のポイント

 

前章の第6章はざっくり言うと、「意思決定を行う為の手順」について論じられていました。

この第7章では、「その意思決定が本当に成果をあげるものかを確認する方法」について論じられています。

 

この章では、「成果をあげる意思決定」を行う為に必要な3つのものが出て来ます。

それが次です。

 

成果あげる意思決定に必要なもの

  • ①:何が事実であるかを検証する評価基準の決定
  • ②:意見の不一致
  • ③:意思決定が本当に必要かの確認

 

詳細は概略の方で解説していきますが、簡単にまとめると次のようになります。

第7章のポイント

「意思決定はすればいいというものではなく、本当に成果のあがるものであるかをよくよく検証すること」

 

 

「第7章 成果をあげる意思決定とは」の概略

 

第7章では、成果をあげる意思決定を行う為に考えるべき事、考える為にやるべき事を解説をしています。

 

第7章の流れ

  • ①:正しい意思決定の要件
  • ②:意見の不一致を必要とする
  • ③:意思決定は本当に必要かを自問する
  • ④:意思決定とコンピュータ

 

①:正しい意思決定の要件

意思決定についての文献のほとんどが、まず事実を探せという。
だが、成果をあげる者は事実からスタートできない事を知っている。
誰もが自分の意見からスタートする。

 

これは少々分かりづらいですが、「事実」というのは優位性がなければ把握できないということです。

 

例えば、「味」が重要かどうかについてです。

鉄加工のメーカーでは「味」はどうでも良いものです。

もちろん、鉄だって舐めてみれば「味」はします。

鉄が鉄の味がするのは「事実」と言えるかもしれませんが、味について考えてみても何の意味もないですね。

でも、それが食品メーカーならば「味」は超重要事項でしょう。

 

このように、味に対する重要度はその状況によって全く異なります。

つまり意味のある事実と意味のない事実を見分けるための評価基準が必要であることを意味します。

 

事実からスタートできないのは当然で、そういった評価基準が何かがはっきりしないと判断はできません。

だから、自分の意見からスタートするしかないのです。

そして、「自分の意見」は未検証の仮説にすぎないので、それを検証していく必要があります。

もちろん、評価基準も意見ですので、それも検証していきます。

 

②:意見の不一致を必要とする

評価基準までが仮説となると、ほぼ必ずと言っていいほど複数の選択肢が出て来ます。

 

意思決定が必要な問題というのは、満場一致で決められるようなものではありません。

相反する意見、異なる視点、異なる判断がある中での選択となります。

 

ドラッカー先生は、意見の不一致が存在しない時には決定を行うべきではないと説いています。

そして、意見の不一致が必要な3つの理由を挙げています。

 

意見の不一致が必要な理由

  • 理由①:組織の囚人になる事を防ぐ
  • 理由②:選択肢を与えるから
  • 理由③:想像力を刺激するから

 

それぞれ解説していきます。

 

理由①:組織の囚人になる事を防ぐ

全ての人が決定を行う人から何かを得ようとしてます。

あなたも経験があると思いますが、そこには、どうしても自分の都合や自職場の都合が入りがちになってしまいます。

もちろん、本人としては「公正に考えているつもりでも」です。

 

意見の不一致があれば、そういった意図から脱する事が出来るのです。

十分に検討され、事実によって裏付けられた反対意見だけがこの意図を見抜き、公正に判断できるのです。

 

理由②:選択肢を与えるから

決定には常に間違う危険が伴う。 最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違いになる事もある。

 

もちろん、人間のする事なのでどんなに注意しても間違う危険があります。

この時に、他の選択肢も十分に検討した状態であれば、副案が出せるのです。

これが無いと、身動きが取れずに途方に暮れるだけになってしまいます。

 

理由③:想像力を刺激するから

不確実な問題においては新しい状況を作り出すための創造的な答えが必要です。

 

それをするには、想像力をフルに働かせる必要があります。

そして、この想像力を働かせるのに最も効果的な刺激剤となるのが、「反対意見」です。

 

③:意思決定は本当に必要かを自問する

続いては、そもそも本当にその意思決定が必要かを考えることについて触れています。

 

意思決定は外科手術である。
システムに対する干渉であり、ショックのリスクを伴う。
よい外科医が不要な手術を行わないように、不要な決定を行ってはならない。

 

これも当たり前のことと言えば当たり前です。

些事にとらわれて、余計な事をしないようにしましょう。

 

そして、全ての検討が終わり、いよいよ決定を下す段階になってうやむやになってしまう事があります。

決定が愉快でなく、評判も良くなく、容易でない事が明らかになった時です。

 

必ずではないですが、決定が苦くつらいものが一般的です。

だから、決定には判断力だけでなく、「勇気」も同じくらい必要だと説いています。

 

決定の直前まで来た段階で、「もう一度調べよう」の声に負けてはいけません。

気持ちは分かりますが、もう一度調べる意味が見いだせない限りはもう一度行うべきではないのです。

また、どうしても不安や気がかりがある場合は、決定を数日~数週間だけ待ってみるのも一つの手段だと説いています。

 

④:意思決定とコンピュータ

最後にコンピュータについても触れています。

 

コンピュータが意思決定を行うような錯覚を起こしている人もいますが、コンピュータはあくまでも計算する道具でしかありません。

計算をするのには意思決定が必要です。

 

例えば、在庫管理を行うのにも、「いつ発注するのか?」「最低でもどれだけ在庫する必要があるのか」などの判断が必要です。

コンピュータにはこういった事は出来ません。

 

あくまでも、人間が意思決定を行い、その計算をコンピュータが行っているのです。

 

以上の流れで強みについて解説しているのが、「第7章 成果をあげる意思決定とは」です。

 

第5章に続いて、ここでも「勇気」が出てきました。

確かに、仕事をしていて小手先のテクニックではなく最後はハート(勇気)の問題になる事は結構多いように感じます。

知恵を絞って選択肢を検討し、最後は勇気で決断を実行する、これが意思決定の最も重要なポイントだと思います。

 

 

 

 

それでは、今日も一日ご安全に!

 

 

 

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