この記事では、ドラッカーの名著①「経営者の条件」を解説しています。
前回に引き続き、ドラッカー先生の名著「経営者の条件」を解説しています。
目次
この章のポイント
こちらの前回の序章に引き続き、今回は第1章の「成果をあげる能力は修得できる」の解説をしていきます。
この章のポイントとなるのは章のタイトルそのままで、「成果をあげる能力は修得できる」です。
この章では、成果を上げることについての様々な解説をしながら、最終的に成果をあげる方法に言及しています。
章の最後では次の「成果をあげる5つの習慣」について触れています。
成果をあげる5つの習慣
- ①:時間を管理すること
- ②:期待されている成果は何かを考えこと
- ③:強みを基盤にすること
- ④:成果をあげる領域に集中すること
- ⑤:成果をあげる意思決定を行うこと
この5つの習慣について解説していくのは2章以降です。
この習慣についても後ほどもう少し詳しく解説していきます。
「第1章 成果をあげる能力は修得できる」の概略
第1章では、次の流れで話が進みます。
第1章の流れ
- ①:誰が成果をあげるのか?
- ②:成果があがらない理由
- ③:成果をあげる方法は何か?
- ④:成果をあげる5つの習慣
①:誰が成果をあげるのか?
まずは、そもそも「誰」が成果をあげるのかについて書いています。
本書では「誰」の部分は「エグゼクティブ」と書かれています。
エグゼクティブと聞くと、お偉いさんや責任者を思い浮かべますが、次のように書いています。
今日の組織では、自らの知識あるいは地位のゆえに組織の活動や業績に貢献をなすべき知識労働者は、全てエグゼクティブである。
これは結論から言うと、「仕事している人全員」と解釈してOKです。
ドラッカー先生は、肉体労働者と対比して知識労働者という言葉を使っています。
しかし、今日では肉体労働者も「改善」や「生産性向上」で少なからず知識、知恵を求められています。
つまり、頭を使って何かを生み出して仕事を行う人は知識労働者と言えるので、全ての人がエグゼクティブと解釈しても問題ないでしょう。
そもそもこの本やこの記事を読むのは、自分の成果をあげようと考えているのだと思いますが、そう考える時点ですでにエグゼクティブなのです。
職種は関係ありません。
エグゼクティブでない人は、何も考えず、ただ言われたことをやっているだけの人間です。
そう考えると、あなたは「エグゼクティブ」になります。
つまり、この本はあなたが経営者でなかったとしても「あなた」の成果をあげる為に書いてある本なのです。
「経営者の条件」というタイトルはちょっとややこしいですね。
英題が「THE-EFFECTIVE-EXCECUTIVE」なので、「仕事の出来る人」みたいなイメージです。
②:成果があがらない理由
続いては、成果があがらない理由を「働く者を取り巻く4つの現実」と書いています。
その4つは次の通りです。
働く者を取り巻く4つの現実
- 現実①:時間がすべて他人に取られてしまう事
- 現実②:成果をあげない日常業務に取り囲まれている
- 現実③:組織で働いている事(自らの貢献を利用してもらわないと成果はあがらない)
- 現実④:組織の内なる世界にいる事(成果は常に組織の外にある)
特に分かりやすいのが、現実①と②の時間と仕事内容です。
成果をあげる仕事内容でないとどんなに頑張っても成果はあがりません。
また、成果をあげるには成果のあがる仕事を集中して行う時間が必要です。
現実①の「時間がすべて他人に取られてしまう事」では、常に色々な人が時間を奪っていくことについて解説しています。
現実②の「成果をあげない日常業務に取り囲まれている」では、成果をあげない日常業務に忙殺されてしまう事について解説しています。
現実③と④はちょっとわかりにくいかもしれません。
現実③の「組織で働いている事(自らの貢献を利用してもらわないと成果はあがらない)」では、組織では1人で完結する事はないので、自分の貢献を誰かに利用してもらわなければなりません。
例えば作業時間を短縮したとしても、その時間を誰かに使ってもらうなりしない限り、成果にはなりません。
その空いた時間で何かをしない限り、あなたの何もしない時間が増えるだけです。
現実④の「組織の内なる世界にいる事(成果は常に組織の外にある)」では、自分たちの仕事の成果というのは組織の外部に出て初めて成果となります。
例えばいくらコストダウンをしても、お客さんのもとに届いて、役に立って、お金をもらわない限りは成果になりません。
成果をあげる為にはこの4つの現実と向き合っていく必要があります。
この4つの現実がこれが成果をあげることを困難にしているのです。
そして、この現実と向き合っていく為に、次のように言っています。
断固たる行動をもって変えない限り、日常の仕事の流れが関心と行動を決定してしまう
成果をあげることを邪魔してくる4つの現実は常に襲い掛かってくるので、強い意志を持って行動を変えなければ、成果はあげられないのです。
③:成果をあげる方法は何か?
成果をあげる唯一の方法として挙げているのが、「成果をあげる能力を向上させること」ですが、これには限界があります。
だがいかに努力したとしても、能力と知識の向上に関しては大幅な期待をすることはできない。
われわれは現存する人間をもって組織をマネジメントしなければならない。
それは、人間の能力の飛躍ではなく、仕事の方法の改善によって図られなければならない。
このように、成果をあげる為には、仕事の方法の改善を行う必要があると述べています。
「優秀な人間になる事や優秀な人間を雇う事」のような考え方をせずに、あくまでも現実を捉えて「仕事の方法の改善」を行います。
ドラッカー先生は、本当に現実を見て、地に足を付けた考え方をしているのが素晴らしいといつも思います。
どこまで行っても現実、実践です。
④:成果をあげる5つの習慣
そして、章の最後で先ほど紹介した「成果をあげる5つの習慣」を挙げています。
成果をあげる5つの習慣
- ①:時間を管理すること
- ②:期待されている成果は何かを考えこと
- ③:強みを基盤にすること
- ④:成果をあげる領域に集中すること
- ⑤:成果をあげる意思決定を行うこと
この5つの習慣は、「習慣」というだけあって、誰にでも出来ることだと言っています。
成果を上げる事は一つの習慣である。
実践的な能力の集積である。
実践的な能力は修得することが出来る。
それは単純である。
あきれるほどに単純である。
成果をあげることは、ピアノの音階を弾く事や掛け算の九九のようなものであり、身につけるのは簡単なものだと言っています。
しかし、ただ身につけるだけでなく、何も考えなくても九九を答えられるくらいの「条件反射」として身につける必要があると言っています。
これは難しい事ではないですが、何度も何度も繰り返して習慣にまで落とし込まなければ効果を発揮しません。
私自身、かなり強くこの5つの習慣を意識して仕事を行ってきました。
今でこそだいぶマシですが、特に時間のことがすぐに頭から離れてしまい、身につけるのに非常に苦労しました。
本当に、習慣というレベルにまで落とし込むのはなかなか難しいですが、実感としてその分得る果実も大きかったです。
1章の最後は、この5つの習慣を紹介し、次の言葉で締めくくられています。
これらが成果をあげるための条件である。そして本書の内容である。
次の章からは、この5つの習慣を掘り下げていきます。
最後に
いかがでしょうか?
段々面白くなってきましたね。
ここまではまだ序盤ですので、本当に役に立つのは次からです。
ぜひこの先も読んでみてください。
次はこちらです。
それでは、今日も一日ご安全に!