でも、躾をしっかりと理解すれば余計な行き違いがなくせるよ!
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 5Sの躾とは?
- 躾の目的
- 躾のやり方とポイント
目次
5Sの躾とは?
まずは「躾」の意味を解説したいと思います。
躾とは
決められたルールや習慣を守る
「言いたいことは分かるけど、そんなの当たり前では?子供扱いするな。」と思うかもしれません。
躾と言われると、「子供のように、守るべきものが守れない」との印象を持ちますが、それはいったん置いといて、もう一度意味を見てみましょう。
「決められたルールや習慣を守る」
躾という言葉でイメージする、「ルールや習慣を守らせる」ではないのです。
「守れない人を叱って従わせる」のイメージではないのです。
たしかに、叱って守らせるというのも一つの側面かもしれません。
しかし、それだけではなく「守りやすくする」、「守れるようにする」という意味合いを含んでいます。
要は、ルールや習慣が守られた状態が、躾の出来ている状態なのです。
その状態に到達すれば良いのです。
だから、「躾」という言葉を使ったことによって本来の意味に対して誤解を生じやすくしてしまったと思います。
5Sの躾の目的とは?
続いて、躾にも目的があります。
躾の目的
ルールや習慣を守ることで、整理整頓の効果を持続させる
これは、清掃、清潔も同様に整理整頓の効果を持続させるために行っています。
整理整頓をすることで、その作業自体の効率が上がり、より深く仕事を考えられるようになりより良い改善が出来るようになります。
これを支えるのが躾の目的です。
5Sの躾を進める手順とポイント
具体的な進め方としては、次のようになります。
清潔を進める手順
- 手順①:躾の意味を理解してもらう
- 手順②:ルールや習慣が守れられているかを現把握する
- 手順③:守られていない理由に対策する
5Sの躾の手順①:躾の意味を理解してもらう
まずは、躾という言葉の意味を理解してもらいましょう。
どうしても躾とだけ言われると、反発してしまいたくなる気持ちがあります。
「躾なんて言うってことはこっちを子供扱いして、ルールが守れていないとでも言いたいのか?」
という反発を持たれてしまうことがあります。
もちろん、先ほど書いたように、5Sの躾とはそういう意味ではありませんので、そうではないことをしっかりと伝えましょう。
また、そんな反発は起きなくても、言葉の意味を取り違えていると、ふとした時に余計な行き違いが起こります。
先にこういう種はつぶしておきましょう。
5Sの躾の手順②:ルールや習慣が守れられているかを現状把握する
続いては、ルールや習慣自体が実際に守られているのかを確認していきます。
意外と多いのですが、ルール通りにやろうとすると、時間的に無理だったり(守れない)、逆に生産性が落ちてしまったり(守る意味がない)することがあります。
ルールが設定された当初からこんな状態の場合もあります。
特に多いのがルールを定めたのがその作業者でなく、管理者だった場合です。
現場の実際の動きが見えていないにもかかわらず、現場への確認もなしにルールが設定されてしまったものです。
ひどいモノだとそのルールが設定されたことすら現場の作業者が知らない場合もあります。
そんなアホなと思うかもしれませんが、コミュニケーションの取れていない現場だとよくあります。
また、ルールが設定されてから時間が経ち、状況が変わってしまっているというのもよくあります。
こういった事が起こっていないかどうか、現状を把握していきます。
5Sの躾の手順③:守られていない理由に対策する
最後は、守られていないのなら、その理由を追求し、対策を取ります。
理由としてよくあるのが、
- 守られない理由①:守る意味がない
- 守られない理由②:守ろうと思っても守れる状態ではない
- 守られない理由③:自分だけ守ってもしょうがない
- 守られない理由④:わかっちゃいるけど、やっぱり面倒くさい
1つずつ解説します。
守られない理由①:守る意味がない
そもそもそのルールを守ることに意味があるかどうかです。
意味のないことを続けようとするルールの方が間違っていますね。
すぐにルールの見直しをしましょう。
守られない理由②:守ろうと思っても守れる状態ではない
物理的、時間的にそのルールを守ることが出来ない状態です。
こういう状態を放置していると、ルールを守ること自体がアホらしくなってしまいます。
早急にルールを見直しましょう。
守られない理由③:自分だけ守ってもしょうがない
これはちょっと厄介な状態です。
「自分は守るつもりがあるけれども、自分一人が守っても面倒なことになるから仕方がない。」
これも放置しておくと、ルールを守ること自体がアホらしくなってしまいます。
すぐに、ルールが守られていないことが問題だと職場全体に伝え、守らなければどうなってしまうかを伝え、守ってもらいましょう。
ルールが守られないとどんな風になってしまうのかを具体的に説明してあげましょう。
守られない理由④:わかっちゃいるけど、やっぱり面倒くさい
これはもう一息ですね。
面倒なことでもやらないといけない、という側面ももちろんありますが、ルール自体の面倒くささを減らすこともしっかりと考えましょう。
なんでもかんでも「人」のせいにしていると、ルールが洗練されず、人に頼った(甘えた)ルールになってしまいます。
以上のような理由でルールが守られていない状態が出来上がります。
注意しておきたいポイントは以下のものです。
躾のポイント
- 個人のせいにしない(人ではなくルールを見直す事)
- 守れるルールにする
- 建前ではなく、本音で話をする
- 守ってもらうには、背景を知ってもらうのも効果的
ルールが守られない状態には、それぞれ理由があります。
しかし、結局大事なのは「そのルール自体に守るだけの価値があるのか?」という所に尽きるのだと思います。
「ルールだから」という理由だけでは、人は動きません。
特に注意したいのが、「ルールだから」を理由に部下や後輩を叱ることです。
やらないのにはそれなりの理由があるのです。
それを「ルールだから」という理由になっていないものでは、誰も納得しません。
少なくとも、そのルールを守らなければならない理由くらいははっきりと伝えましょう。
最後に
しつこくなりますが、「躾」は変な印象を持たれないように、しっかりとその意味をお互いに理解して行ないましょう。
5Sは、改善活動です。
最も大事なのは「常により良くするためにはどうしたら良いかを考え続けることです。」
そして、5Sをするのは「人間」です。
ルールや仕組みを作ることも大事ですが、人間がやっているということを絶対に忘れないようにしましょう。
そして、ドンドン改善を進め、昨日よりも今日、今日よりも明日の方がより良い現場にしていきましょう!
それでは、今日も一日ご安全に!