ポイントを抑えれば上司からダメ出しされずに作れるよ!
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- なぜ目標設定をするのか?
- 上司からダメ出しされない目標設定のコツ
- 具体的な目標設定の作り方
- 目標設定の具体例13個
入社以来毎年目標設定を書き、現場の人の目標についてもよく相談に乗っています。
目標設定がモヤモヤする人の悩みとして、「どんな目標にすれば良いのだろうか?」という疑問があります。
私も昔は目標設定に悩み、周囲の人も目標設定が嫌で、「お前が代わりになんか考えてくれない?」なんて言われることも頻繁にありました。
また、立てた目標を上司にダメ出しされる人も何度も見て来ました。
しかし、そんな光景を眺めている内に、だんだん「ダメ出しされる目標設定」が見えてきました。
そして、目標設定にはコツがあることを理解しました。
上司だって好きでダメ出ししているわけではなありません。
それなりの理由があるのです。
本記事では、そのコツを解説し、ダメ出しされない目標設定をする方法を解説します。
これでコツを押さえる事が出来れば、そのうち苦手意識もなくなると思います。
それでも、最初はやっぱり苦労すると思いますので、そういった場合の為に具体例を挙げています。
目次
目標設定が行われる理由
そもそも、なぜ目標設定が行われるのかを解説していきます。
これには2つの目的があります。
目標設定が行われる2つの理由
- ①:目標設定をする方が成果があがる
- ②:目標設定で評価をする
目標設定を行う理由①:目標設定をする方が成果があがる
究極的には「目標設定をする方が成果が上がる」からです。
会社という組織は、成果をあげる為に存在します。
成果が上がらなければ存在する価値が無いからです。
成果については、こちらの記事で解説しています。
ただ何となく仕事をするよりも、目標がある方が仕事に身が入ります。
特に、現状よりもちょっと難しいハードルがあると「今より良くするにはどうすれば良いのか?」を考えるようになります。
これを考えることで、改善策を見つけ、成果が上がっていくのです。
逆に目標が簡単に達成できる内容だと「今より良くするにはどうすれば良いのか?」を考えなくてもクリアできてしまいます。
目標が高すぎる場合も同じで、あまりにも高くて「ムリ!」と拒否反応を起こし、考えるのをやめてしまいます。
つまり、簡単すぎず、難しすぎない適切な目標を立てることで成果が上がるようになります。
この成果を狙って目標設定を行っているのです。
目標設定を行う理由②:目標設定で評価をする
続いては、1人1人のパフォーマンスを「評価」する為です。
これも大元としては成果をあげる為になります。
どんなに仕事を頑張っても、誰も何も評価してくれないなら、「これから先も頑張っていこう!」とは考えなくなります。
頑張っても頑張らなくても結果が同じなら、誰も頑張らないですよね?
だから、成果を上げた人を高く評価し、成果を上げなかった人を低く評価します。
このように、評価をすることで成果をあげるモチベーションを高めるために行います。
ただし、残念ながらこれは理想論です。
評価というのは昇給金額の関係もあるため、全体の中でバランスを取る必要があります。
全体の10%をA評価にする、みたいなやつです。
こうなると、評価自体は相対的にならざるを得ず、かつその基準もかなりあいまいです。
他所の部署のAさんと同じだけの成果を上げたとしても、上司の判断基準や部署間の力関係など様々な理由で評価に差がつくのです。
そしてこの不明な部分に対して目が行ってしまうと、逆にやる気が無くなってしまいます。
要するに、結果を出したのに評価されない、なんてことが普通にあります。
評価することで成果をあげるつもりでやっているのに、やる気を失っていたら元も子もないですよね。
そして、これは会社側に言ってるのではなく、評価を受ける従業員側に言っています。
目標設定と評価でやる気を失っていたら、余計に評価は悪くなります。
会社の制度のせいだって言うのは簡単ですが、それを言っても何の成果もあがりません。
だったら、その分仕事を頑張った方が良いのです。
だから、評価自体はあまり気にしない方が得策です。
そして、評価について決定的に重要な事実を知っておいてほしいです。
それは、「そもそも、1人の人間を完璧に評価することなど絶対に出来ない」という点です。
評価は気になる所ですが、話半分くらいで考えておきましょう。
詳しくはこちらで解説しています。
ちょっと話題がズレましたが、成果をあげるため、そして評価を行う為に目標設定が行われいてます。
目標設定のコツ:「評価する人が評価しやすい目標にする」
また考え直しか…。
こうならないための方法を解説します。
結論からいうと、「評価する人が評価しやすい目標にする」ことが重要です。
要するに、自分が評価者になったつもりで考えればOKです。
目標設定を評価しやすくする「SMART」の考え方
目標の内容を考えるうえで「SMART」という考え方があります。
次の5つの頭文字をとって、「SMART」です。
- S:Specific(具体的である)
- M:Measurable(測定可能)
- A:Achievarable(達成可能である事)
- R:Result oriented(最終目標に関連した目標である事)
- T:Time setting(期限が設定されている事)
これだけだと、SMARTという単語は覚えやすいですが、中身がよくわかりづらいので解説します。
具体的には、今考えている目標が次の5つを満たしているかを確認すればOKです。
評価しやすい目標
- 内容が具体的(数字を使う)
- 結果がはっきりと出る
- 現実的なレベルの難易度
- 部署の方針に沿っている
- 納期が設定されている
この5つが言っていることは、結局は「評価しやすい内容にしてね」ということなのです。
評価しにくい目標設定の例
わかりやすくするために、逆に評価しにくい目標設定を挙げてみます。
例えば、「内容があいまいで、結果が出たかどうかもよくわからないくて、いつ達成するかもわからない。」で考えてみます。
例
- Aさん 目標:「材料ロスを頑張って減らす」→結果:「頑張った」
- Bさん 目標:「時間ロスを頑張って減らす」→結果:「結構できた」
AさんもBさんも何をやろうとしているかわからないですね。
これで2人の評価の優劣を付けられるでしょうか?
ちょっと例が極端ですが、結局はこういうことなのです。
しかも、評価が悪いとみんなやる気をなくします。
「あいつの方が評価が良い」なんて知った時にはもう目も当てられません。
昇給額が絡むことも多いので、余計にややこしくなります。
評価する人間は理由が欲しい
そうなると、評価する側としても「こういう理由で評価を良くする、悪くする」といった理由が欲しいのです。
そして、目標設定をその理由にしているのです。
だから、評価する人の立場に立って、「評価がしやすい目標にする」ことが重要なのです。
その他にも、この5つを満たした目標の方が「成果があがりやすい」というのもあります。
いずれにせよ、評価しやすい5つを満たした目標を設定しましょう。
評価しやすい目標
- 内容が具体的(数字を使う)
- 結果がはっきりと出る
- 現実的なレベルの難易度
- 部署の方針に沿っている
- 納期が設定されている
具体的な目標の作り方とコツ
ここまでで、目標設定の考え方は理解できたかと思います。
しかし、実際に目標を考えるとなると話は別です。
ここからは、現実的な目標設定の行い方を解説していきます。
次の3つの手順で行います。
目標設定の作り方
- ①:大枠を決め何をするかを決める
- ②:選んだ内容の改善策を検討する
- ③:体裁を整える
この手順に沿って、目標設定のコツである「評価する人が評価しやすい目標」をからめていくのです。
では、具体的に目標を作ってみましょう。
目標設定の作り方①:大枠を決め、何をするかを決める
基本的に、目標設定は次の4つの大枠に分類されるかと思います。
目標設定の4つの大枠
- ①:生産性
- ②:品質
- ③:安全
- ④:自己啓発
おそらくこの4つで目標を設定すれば間違いないと思います。
大枠の中でどんなことをするかを考えていきます。
生産性の大枠であれば、時間ロス、材料ロスが最も良いでしょう。
その他にも手間や金がかかっていることなども良いと思います。
例えば、時間ロスを削減するなら、次のようなイメージです。
- スタート時の予熱作業を改善する
- 条件を出す時間を改善する
- 次のオーダーへの切り替え作業を改善する
具体的なネタの探し方としては、次の2つのアプローチがあります。
- ①:普段の仕事で改善の余地があるものを選ぶ
- ②:面倒に感じているものを選ぶ
- ③:無駄だと感じているものを選ぶ
- ④:数字で悪さが出ているものを選ぶ
①、②、③は仕事をしていたら必ず何か思うものがあるでしょう。
それらを探していきます。
①、②、③のデメリットとしては、改善しても「意外と効果が小さかった」となってしまう可能性があることです。
もう1つは、④のような材料ロスや時間ロス等の数字を見て対策すべきところを狙っていく形です。
悪い所を集中的に狙うので効果は出やすいですが、肝心の対策が思いつきにくい可能性があります。
目標設定の作り方②:選んだ内容の改善策を検討する
具体的にどんな対策をすることで目標を達成するのかを考えていきます。
どうやって、何を変えることで改善できるのかを考えていきましょう。
もしかしたら、すでに普段の仕事の中で色々とアイデアが出ているかもしれません。
やめる、減らす、方法を変える、道具を変えるなど、アプローチ方法はたくさんあります。
改善策の見つけ方はこちらで解説しています。
目標設定の作り方③:体裁を整える
最後に、決めた目標の体裁を整えていきます。
ここで特に、目標設定のコツである、「評価する人が評価しやすい目標」に整えていくイメージです。
評価しやすい形に変えていきます。
具体的に数字で出せるのが最も良いです。
次の項目に当てはめましょう。
- 何を
- どうやって
- どれくらい
- いつまでに
- 難易度
具体的に当てはめていくと次のようなイメージです。
- 何を:月20回実施する作業Aの時間ロス
- どうやって:移動時間が多いので、移動を減らす
- どれくらい:1回5分削減する(○○円/回の削減)
- いつまでに:上期末までに
- 難易度:高い
これを整えて目標に仕上げます。
月20回実施する作業Aの時間ロスを、無駄な移動を減らすことで1回5分削減し、月100分の時間ロスを削減する。
効果を金額に出来るとより良いです。
この様に、目標設定の手順の中でテーマを決めていき、目標設定のコツである、評価しやすさを絡めていくと、とても素晴らしい目標になります。
以上のような形で目標設定を作っていけば、評価されやすい目標設定を行うことができ、上司からダメ出しされることもなくなるでしょう。
目標設定の参考例13個
最後は、目標の参考例を挙げていきます。
これを見て実際の目標設定の参考にしてください。
4つの目標設定の大枠ごとにまとめています。
目標設定の参考例:生産性
生産性
- スタートの予熱時間を○○で削減する事により、時間ロスを月50分削減する
- ○○の作業を△△に変更する事により、材料ロスを月120kg削減する
- ○〇の部品を○○に変更する事で、メンテナンス頻度を半分に減らし、費用を年間〇〇円削減する
- 消耗品の購入先を見直し、消耗品費を3%削減する
- ○○の品種の生産スピードをUPして、時間を○○分削減する
1回5分のように書くと、月に何回するのかわからずに効果が見えないので、月や年での量が見えるようにしましょう。
目標設定の参考例:品質
品質
- ○○の品質不良を○○する事で発生件数(金額)を昨年度比50%削減する
- 不良流出防止の為、5種類の検査作業の作業標準を作成する
その他、検査基準を見直すなども良いかもしれません。
目標設定の参考例:安全
安全
- 現場の危険な個所を月2件対策する
- 現場の作業をKYTの資料にして毎月5個資料を作成し、KYTを実施する
- 転倒防止、落下防止の対策を月各1件実施する
- 上期中にリスクアセスメントを実施し、必要な対策を年間で15件以上実施する
「無災害を達成する」も良いですが、その為に具体的に何をするのかをはっきりさせましょう。
目標設定の参考例:自己啓発
自己啓発
- ○○の資格を取得する
- ○○の設備の勉強をし、教育用資料を5種類作成する
- ○○の作業を新たに覚え、多能工化を行う
以上のようなイメージで、目標設定を行えば大丈夫でしょう。
最後に
普段の仕事を適当にこなしているわけではないですが、目標を設定した後には、普段より明らかに仕事に身が入っている人を何人も見て来ました。
もしかしたら意外に思うかもしれませんが、その人たちは皆楽しそうに仕事をしています。
前向きに色々と考えながら仕事をするのは本来楽しいものです。
仕事を面白くするという意味でも目標設定について考えてみるのも良いと思います。
それでは、今日も一日ご安全に!