仕事術

根回ししないとダメなの?絶対やった方が良い理由とやり方を解説!

相談
悩めるあなた
「根回しをしておけよー」と言われるけど、した方が良いのだろうか?間違ったことをするわけでもないのに、そんな社内政治みたいなことしないといけないの?
現場マン
根回しは絶対した方が良いよ!

根回しは社内政治じゃなくて、単純に良い判断をしてもらうのに必要なだけだよ!

こんな疑問に答えます。

 

本記事の内容

  • 根回しとは?
  • 根回しの2つの目的
  • その他のメリット
  • 根回しの3つの手順
現場マン
この記事を書いている私(現場マン)は工場の現場に関わって10年以上が経ち、工場の様々な問題に対処してきました。

新しい事をやるのに根回しをする事も多く、周囲を巻き込んで仕事をする事もよくあります。

 

根回しをすることに戸惑いを感じている人のよくある悩みとして、「正しいことをしているのに、なんで根回しなんかしなければいけないのだろうか?」という点があると思います。

私は根回しをしなかったことで設備投資で認可がもらえずに、数千万円の大きな損失を出したことがあります。

当時は根回しの重要性をなめてました。

 

5年ほど前に、年間3千万円ほどのコストダウンになる設備投資案件がありました。

私はこの発案者だったのですが「これだけのコストダウンになるのだから反対されるわけがないだろう!」と自信たっぷりでしたが、結果は予算の承認をもらえませんでした。

 

当時は予算を承認してもらえなかったことに呆れて「この会社バカなんじゃないの?」なんて思っていましたが、結局は私の説明不足でした。

この経験から「どうやって予算を承認してもらうか?」を考え、その対策をとることで翌年の予算は承認してもらいました。

 

そこで、私が痛感した根回しの重要性と、その手順を解説しようと思います。

特に、「根回しなんて気持ち悪い」、「会議の意味がない」、「日本の悪い文化だ」なんて思っている人に読んでもらいたいです。

 


根回しとは?

まずは「根回し」の言葉の意味をはっきりさせておきましょう。

 

根回しとは?

物事を行う際に、事前に関係者(特に決済権を持つ人)へ説明し了承を得ておくこと。

(元々は樹木を移植する際に事前に行う準備作業のこと。)

 

根回しというと次のような否定的なイメージもあるのではないでしょうか?

 

  • 日本特有の悪習だ
  • 会議をする意味がない
  • とにかく手間
  • 社内政治だ

 

この辺が実際どうなのかを考えていきたいと思います。

 

まず、根回しは日本特有の文化ではありません。

海外でも普通に存在します。

 

後ほど解説する、根回しの目的から考えればわかりますが、海外でも当然のように存在します。

 

その他の会議をする意味がない、手間、社内政治といったイメージも全て間違いです。

それらも根回しの目的をちゃんと理解すれば間違いだということが分かります。

 

とにかく否定的なイメージを持っている人もいますが、根回しは「非常に重要で手間も減らせるもの」です。

もっと前向きなイメージを持っても大丈夫です。

 

根回しの2つの目的

 

根回しには次の目的があります。

根回しの2つの目的

  • 目的①:内容をしっかりと理解してもらう
  • 目的②:効率を上げる

 

1つずつ解説します。

 

根回しの目的①:内容をしっかりと理解してもらう

根回しとは、次の事が行われるようにすることです。

 

  • 判断する為に必要な「情報」を事前に与えることで、その情報を「整理」してもらう

 

根回しをしないでいきなり決断を迫るというのは「情報を整理させない」ということになります。

決定するその場で初めて情報をインプットされても、整理する時間がないのです。

 

急に大きな決断を迫られたら?

例えると、急に家や車の営業マンが来て「お買い得だから今すぐ買ってくれ」と言われたらどうでしょうか?

本当にお買い得だったとしても、すぐにお買い得かを理解してその場で買う決断はしづらいですよね?

 

根回しをしないのはこれと同じなのです。

 

さらに、決定するのは会議の場が多いので、周囲からのプレッシャーもあります。

会議でなくても提案するあなたからのプレッシャーもあります。

 

プレッシャーは判断する為に必要な「頭を使って考える」ことの効率を著しく悪くさせます。

 

急に話を振られたら?

プレッシャーによる頭の効率低下には、こんな経験がありませんか?

 

普段だったら簡単に話せる内容でも、急にみんなの前で話せと言われたら、うまく話せなかった。

 

そんな時、頭の中でこんなことを考えていないでしょうか?

 

  • なんで事前に行ってくれなかったんだよ!
  • これじゃうまく話せなくてカッコ悪いじゃないか!
  • 急にみんなの前で話せなんて余計なこと言いやがって!

 

こんなことを思ってしまいますよね?

根回しをしないのも同じなのです。

 

このように、根回しをしないのは「整理する時間」を与えず、「時間の無い中で判断力さえ奪う」ということなのです。

 

こんな状態にされてしまったら、良い提案だったとしても「よくわからないし、今回は見送ろう」という判断になってしまうわけです。

 

しかも根回しをしなかったあなたへの印象も悪くなるという、おまけつきです。

 

もちろん、これらを差し引いても感情やプライド優先のアホ上司もいます。

でも、多かれ少なかれ判断力は鈍ってしまうのです。

 

こんな状態でもしっかりと判断する優秀な人もいますが、それはその人が特別優秀なだけです。

多くの人はそうではないことはあなたも普段の仕事から分かっているのではないでしょうか?

 

根回しの目的②:効率を上げる

続いては根回しをすることでのプラスになることです。

 

根回しをすることで仕事の効率が上がります。

それは、根回しをすることによって次のことが解決するからです。

 

  • 確認事項を教えてもらえる
  • 確認自体をその人がしてくれる場合もある

 

設備導入で例えてみます。

導入担当者は必要だと思う次のような資料を準備していきます。

 

  • 「その設備だとどれだけ効率が上がるか?」
  • 「メンテナンスがどれだけやりやすいか?」
  • 「費用がどれだけかかるか?」
  • 「どれだけコストが削減できるか?」

 

しかし、その設備を導入するには、次のような確認事項がいくらでもあります。

 

  • 予算はどこから出るのか?
  • 減価償却がどれくらいで経営にどれだけ影響が表れるか?
  • その設備を動かすのは誰で、新たな従業員を雇い入れる必要があるのか?
  • 購入先の信用はどうなのか?
  • 関係する法律への対応はどうするのか?
  • 使用する電気の量が増えるのか?電力の契約は問題ないか?
  • その他いくらでも出てくる…

 

これらを導入担当者が一人で確認項目の洗い出しから内容の確認、問題点の対策までをやるのは無理があります。

 

しかし、根回しをすれば確認事項・問題点、さらにはその対策を教えてもらえ、一気に解決します。

さらに、内容によっては相手が動いてくれるので、その手間も解消できます。

 

このようにして、根回しをすることで効率が一気に上がるのです。

 

決裁者に説明しても何もしてくれない、という意見もありますがそれは違います。

決裁者は当然権力を持っており、事前に話をしておくことで、決裁者の部下の協力を得られるようになるのです。

いわゆる、「上司に話を通しておく」になります。

 

だから、決裁者でもそうでない人でも事前の根回しをすることでメリットが得られるのです。

 

根回しのその他のメリット

メリット

 

根回しをする事で他にも次のような色々なメリットがあります。

 

根回しのその他のメリット

  • 反発が減り、協力が得やすくなる
  • 責任問題が減る
  • 周囲から認められる
  • より大きな仕事ができる

 

反発が減り、協力が得やすくなる

「急に自分に影響のある話」を嫌う人は多く、事前に話しておくとクッションになります。

 

事前に少しずつ話を聞いているのと急に話を全て聞いて決断をするのでは、出る答えが異なることが多いです。

要は、心の準備というやつですね。

 

あなたも急に仕事を頼まれたらしんどいと思います。

やるにしても心も体も準備はしたいですよね?急に言われたら、心がモヤモヤしてしまいがちです。

 

これと同じです。無意味な反発を抑えることが出来ます。

 

責任問題が減る

関係する人が知っていることで、まずい部分への対応がとられやすくなるので、まず問題自体が起こりにくくなります。

 

問題が起こったとしても、関係者が認めてくれている内容だったら認めた人にも責任があります。

ですので、勝手にやってしまった人よりもフォローされる確率は上がります。

(関係者が逃げるタイプの人間だったら注意しないといけませんが…)

 

周囲から認められる

根回しをする人間は関係者を無意味に驚かせることをしません。

 

そうすると関係者は「こちらのこともしっかりと考えていてくれるので、安心できる人間だ。」と評価されます。

この周囲からの評価というのは重要で、評価されていない人とされている人が同じことを言っても結果は全然違ったものになります。

 

私も結構突拍子もないことを提案しますが、以前は「は?そんなの無理に決まってるよね?」なんて反論されたりしました。

 

根回しをしっかりするようになってからは、同じようなことでも

「お前が言うってことは何かあるんだな?」

と、すぐに協力してもらえるようになりました。

 

こんな感じで、周囲から認められることで色々なことがやりやすくなります。

根回しをして、「しっかりと相手の事を考えた行動をとる」と言う事を頭に入れておきましょう。

 

より大きな仕事ができる

根回しをせず、一人でやると能力の限界は自分になります。

 

根回しをすると、自分だけではできないことでも、他の人が協力してくれることで出来るようになり、やれる仕事が圧倒的に増えます。

自分が考えていたよりもより良い方法を簡単に行えます。

 

自分には難しい問題でも、他の人にとっては簡単ということもたくさんあります。

 

私なんか大して何もできない人間ですが、根回しをすることで、

発案(私)→問題発見(関係者)→対策の認識(私)→対策検討(関係者)→解決(関係者)

の流れで、各分野のプロにお任せして課題をクリアしています。

 

自分ではできない仕事も関係者の協力で、すんなり解決します。

こうやって文字にしてみると、いかに私が何もできないかが良く分かりますね。(笑)

それでもたくさんの改善が出来ましたし、良い仕事も出来ています。

 

以上の様に、根回しをすることで多くのメリットを受け取ることが出来ます。

 

もちろん、それでも根回しを気持ち悪く感じるのなら強制はしませんが、根回しをする事の重要さが見えて来ませんか?

決してゴマすりではなく、仕事を効率的に進める為に欠かせないのです。

 

だから、根回しは絶対にやった方が良いのです!

 

根回しの3つの手順

相談

 

では、実際にどのようにして根回しをするかを解説します。手順は次の3つだけです。

 

「根回し」の3つの手順

  • 手順①:知ってもらう
  • 手順②:「相談」をする
  • 手順③:了承を取る

 

もちろん、相手との関係性によってはこの手順を一度に行ってしまうことも出来ます。

でも、まずは一つ一つの手順を踏んでいくのが望ましいです。

 

それでは、解説します。

 

根回しの手順①:知ってもらう

まずは自分の考えていることを知ってもらう必要があります。

ここではいきなり話を進めようとしてはいけません。世間話の感覚でチラッと話しておきましょう。

 

「今○○について考えていて、それなりにメリット出せそうなのでそのうち相談させてもらえませんか?」

 

こんな感じで少しだけ触れておきましょう。

この段階では話を進めようと焦らずに、「知ってもらう」だけでじゅうぶんです。

 

もし会話をしている時に「で、どうしたいの?」と続きを聞かれたときはそのまま話しを続けても大丈夫でしょう。

 

根回しの手順②:「相談」をする

続いては、「相談」をします。

 

「相談」するのは意思表示です。

「事後報告」ではなく「あなたの意見なしには決めません」と相手を尊重していることを意思表示して伝えているのです。

 

具体的には、次のようになります。

 

「この間チラッと話した○○の件ですが、その後色々考えてみたのですが、どう思いますか?」

「何か問題になるところがありそうですかね?」

「ぜひ意見を頂きたいのですが。」

 

こんな感じで意見を聞いていきます。

困難な課題ほど問題点も多く出ると思いますが、こうやって相談することで解決策を考えてくれたり、協力してくれることもあります。

 

そして、しっかりと中身を知ってくれるようになります。

 

もちろん、意見や問題点を教えてくれたらそのままにはせずに対応していきます。

しっかりと対応することでさらに相手を尊重しているというスタンスを示せます。

こうすると、相手もだんだんとむげに断れなくなっていきます。

 

根回しの手順③:了承を取る

問題点の対策が済んだら、いよいよ了承を取ります。

 

「この間の件ですが、対策もとれそうなので今度の決定する会議で提案してもよろしいでしょうか?」

 

こういう感じで了承を取ります。これでOKをもらえれば根回し完了です。

 

根回しのコツ

コツとしては、「頼る部分はしっかり頼る」です。

やってもらうことに対して中途半端に頼ったりすると、相手としてはかえってやりにくかったりします。

 

ですので、相手がやってくれる部分についてはあまり首を突っ込み過ぎないようにしましょう。

その分、やってもらった時に「ありがとうございます!」にたくさんの気持ちを込めてお礼を言いましょう。

 

根回しで批判されたときの対処法

批判

 

以上で一通り完了するとはいえ、現実はそんな簡単にうまくいかないことも多いです。

というのも、話をしに行った時点ですでに否定的なことを言われる場合もあるからです。

 

どこの世界にも否定的で文句ばっかり言う人はいますからね。

そういった相手の場合は、次のポイントに気を付けて対応しましょう。

 

否定的な人への対処法

問題点を聞き出すところまでは頑張りましょう。

 

「無理だとおっしゃる○○と△△に対処が出来ればOKという理解で大丈夫ですか?」

 

こんな形で、問題点を明確にしつつOKを引き出す条件を指定してしまいます。

そして、その対策を講じておきます。

さらに、その人の上司や同僚にも相談しておくのが良いでしょう。

 

「先日の件、対策を考えてみました。上司のAさんや同僚のBさんもそれで問題ないとおっしゃっていました。」と伝えましょう。

 

このように、外堀を固めてその人が反対できないようにしてしまうのもテクニックの一つです。

あまりやりすぎると汚いヤツと思われるので、こういう場合のみに使用しましょう。

 

否定・反発はどう頑張っても0にはならない

どんなに気を付けて話したとしても否定的なことを言われたり反発されたりするのは少なからず起こります。

こればっかりはどう頑張っても避けられないので、ある程度は覚悟しておきましょう。

 

同じように反発や批判を浴びがちなのは新しいことに挑戦する時ですが、お悩みの場合は具体的な進め方も書いているのでこちらも参考になると思います。

仕事で新しいことに挑戦する人が知っておくべき進め方【批判を回避】

 

こうやって、一つ一つ手順を並べていくと最初は少し面倒に見えるかもしれません。

でも、これで協力が得られ、早く進むようになります。

急がば回れではないですが、しっかりと根回しをしていきましょう!

 

最後に

 

今まで根回しを社内政治の一環だとか、忖度だと気持ち悪く感じていたら、この記事は少し新鮮だったのではないでしょうか?

 

根回しは仕事を最も効率的に進める為に行う為のものです。

そこを意識すれば「根回し」への見方もずいぶんと変わったと思います。

 

ぜひとも「根回し」をうまく活用して、正しい事をどんどん突き進めてもらえればと思います!

 

それでは、今日も一日ご安全に!

 

 

 

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現場マン

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