こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 日報のデジタル化の5つのメリット
- まずはEXCELで作る事をおすすめする理由
- 日報のEXCELへの切替手順
手書きの日報をEXCELに変更したり、タブレットを導入した経験もあります。
手書きの日報をデジタル化したい人の悩みとして、「どうやったら手書きから変更できるのだろうか?」という疑問があります。
私自身、過去に手書きのものをデジタル化する際は、どうすればデジタル化できるのかを悩みました。
周囲はパソコンが苦手な人ばかりで、書式を変えるにもISO9001の問題もあったりと、ハードルが多かったです。
しかし、いざやってみると意外と進みました。
EXCELの書式なんて、一から作ったのにたった2日でプロトタイプが出来ました。
この様に、本当にやるつもりで動き出せば意外とできてしまうのが日報のデジタル化なのです。
もちろん、越えなければならないハードルは書式以外にもたくさんあるので、その辺について解説します。
「この時代に手書きかよ!今は令和だよ!?」と思っているあなたのお役に立てるかと思います。
目次
手書きの日報をデジタル化する5つのメリット
まずは、日報をデジタル化する事のメリットを解説(再確認)します。
これがしっかりと伝えられないと、上司も周囲もなかなかOKを出してくれません。
パソコンが苦手な人からすると、手書きが楽で確実なので、抵抗する人もいます。
しっかりとメリットを伝えましょう。
日報デジタル化の5つのメリット
- ①:どこからでも確認出来る
- ②:手書きの手間が減る
- ③:データ集計作業が簡略化できる
- ④:集計のミスが無くなる
- ⑤:必要な情報を検索できる
デジタル化のメリット①:どこからでも確認出来る
従来の紙の日報では、現場で直接確認するしか方法がありませんでしたが、デジタル化すればパソコンさえあればどこからでも見れるようになります。
もちろん、サーバーに保存する等の対応が必要ですが、その辺はすでに会社で構築してあると思いますので、そこに入れればOKです。
無い場合は、Google driveに入れておけば機能としてはOKです。
セキュリティ的には社内で確認してみましょう。
デジタル化のメリット②:手書きの手間が減る
多くの人がこの手間を理由にデジタル化を願っています。
ここに関しては、この記事を読んでいるあなたこそが、その手間をよく理解していると思います。
書式をコピーして、びっしり手書きして、それを事務担当がチェック・集計・入力、回覧してハンコ押してコピーして…。
あの手間が激減するのです。
それらに1日何分を費やしているのかを計算してみましょう。
- 記入する時間
- 事務担当の集計の時間
- 日報を現場に見に行く時間
- 日報の該当する部分を探す時間
- 半期ごとに紙の日報を棚にしまう時間
数えていけば、手書きというだけで結構な時間を費やしています。
これらが実際に何分かかっているかを計算してみます。
その数字を見せれば、多くの人は納得してくれると思います。
ちなみに私がデジタル化したところでは、合計で年間600時間程度の時間を費やしている所もありました。
このように、具体的な数字で悪さをしっかりと分かるようにして、デジタル化を嫌がる人にも納得してもらいましょう。
現実にこの手間が減るのですから、何としてもやるべきですよね。
デジタル化のメリット③:データ集計作業が簡略化できる
デジタル化すれば、生産量や時間の集計などは自動で計算してくれるので、とても楽になります。
日報集計で電卓を使っているのであれば、効果は大きいです。
時間計算も5分か10分刻みの目盛を15分、40分、60分などと数えて読んでいるのであれば、効果は大きいです。
一瞬でカウントして計算してくれます。
デジタル化のメリット④:集計のミスが無くなる
デジタル化すると、自動で計算してくれるので、ミスなく集計してくれます。
もちろん、入力ミスがあれば集計結果はおかしくなりますが、それは手書きでも同じです。
入力ミスの確率は同じですが、計算のミスの方は一切なくなるので効果的です。
デジタル化のメリット⑤:必要な情報を検索できる
デジタル化の最大のメリットともいえるのが、この検索が可能出来るようになることです。
欲しい情報を検索すれば、一発で見つけられます。
例えば、品番Aの生産をこの一年でいつ行ったかなどを一瞬で分かる様になります。
こういったことはデジタル化ならではのメリットと言えます。
手書きの日報をデジタル化すれば、以上のようなメリットを手に入れられます。
手書き日報のデジタル化はまずはEXCELで始めてみよう
では、次は具体的なデジタル化の方法について解説していきます。
日報のデジタル化は主に次の3つの方法があります。
日報のデジタル化の方法
- ①:専用のシステムを一から組む
- ②:パッケージシステムを購入する
- ③:EXCELで書式を作る
それぞれ次のメリットデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
①:専用システム | 自社に合ったシステムを組める 日報だけでなく他も併せてできる | 数百~数千万円の費用 導入が大変 |
②:パッケージシステム | 専用システムよりは安く出来る | 数十万円~数百万円の費用 導入が大変 |
③:EXCEL | お金がかからない 好きに作れる 修正も簡単 | 導入が大変 |
このメリット・デメリットから言えることは、「何をしようとも導入が大変」と「最初はEXCELを使おう」です。
システムを導入するのは、専用でもパッケージでもかなり大変です。
大変な上に、実際にデジタル化してみないと良し悪しも解らないことも多いのです。
私自身、絶対に使うだろうと思っていた機能が要らないことに気づいたりと、やってみて分かったことがたくさんあります。
そういったことが分からない状態でシステムを導入するのは手間もお金もドブに捨てる可能性が高いのです。
それだけのお金を使って、「出来ませんでした。手間が余計に増えました。・・・」では済まないですよね。
だから、EXCELでとりあえず始めてみるのをオススメしています。
EXCELなら、計算式もかなり複雑なモノでも作れますし、何より自分で変更していけます。
EXCELでも作るのは大変ですが、システムを組むよりはだいぶ楽に作れます。
ちなみに、EXCELでもマクロの使用はあまりお勧めしていません。
使える人が少ないので、将来的に変更できずに困ることが出てくる可能性が高いからです。
自部署の情報レベルを踏まえた上で考えましょう。
手書き日報をデジタル化する際の4つの問題点
手書きの日報をデジタル化する際にクリアしなければならない問題があります。
その多くは、デジタル化というよりも「変えること」に対する抵抗です。
これらはかなり高確率で降りかかってきますので、先に知っておくことで対処できるようにしておきましょう。
デジタル化する時に起こる問題
- 問題①:エクセル書式自体の整合性
- 問題②:想定外の問題への対処
- 問題③:書式の変更によるISO等の対応
- 問題④:「変わること」が嫌な人の抵抗
問題①:エクセル書式自体の整合性
まずはこれです。
当たり前ですが、エクセル書式自体がしっかりとしていないと話になりません。
計算式のミス、入力のしやすさ、間違えにくさ、といった部分がしっかりと出来ているかを確認しましょう。
しかし、最初から全てを完璧にすることは出来ません。
計算式のミスは無しにしても、入力しやすさなどは実際に入力する人に触ってもらわないと分かりません。
文字入力するのがいいのか、リストで選択するだけの方が良いのか、などは実際にその書式を使う人のレベルによります。
だから、しっかりとミスの確認はしつつも、早い段階で使う人に触ってもらいましょう。
問題②:想定外の問題への対処
デジタル化をすると、想定外の問題が起こります。
パソコンに慣れない人が入力することも多いので、「うそでしょ…?」といったような問題が起こります。
例えば、翌朝日報を確認するとデータが更新されていないことがありました。
おかしいと思って確認すると、マイドキュメントに新しいファイルが作成されていて、そちらに日報が入力されていました。
最初はこんな感じのことがよく起こります。
交代職場だと、わからない時に聞けないことも多いので、きっちり「どこをどうクリックするか?」などのマニュアルを作りましょう。
嫌でも必要性を感じると思います。
その他にも、日報のデータ化をした時にもろに影響を受けるのが、データの集計作業です。
この辺は実際にどんな集計をしているのかによりますが、こことの整合性をしっかりと併せておかなければなりません。
また、こういった書式を変更しようとすると、従来の計算方法が間違っていたことに気付く、なんてこともあります。
私自身、過去に日報のデジタル化を行った時は、歩留の計算方法がおかしいことに気付きました。
しかし、急に正しい歩留に変更してしまうと、目標数値との整合性が取れなくなるため、その年度は従来の間違った歩留計算を使用しました。
このような感じで、思ってもいなかった問題が色々と発生します。
新しいことを始めるのですから当然ですが、こういった想定外の問題に対処していく「つもり」は最初からしておきましょう。
問題③:書式の変更によるISO等の対応
意外と面倒だったのが、ISOの書式変更手続きです。
書式を変更すること自体は大した手間ではなです。
でも、「そもそも日報の書式を変更するにはISOの何を変えればいいのか?」などが分からず、一から調べていくのがかなり面倒でした。
最近ではISOも変更することに関してはうるさく言わなくなっているので、だいぶ気は楽にはなりましたが、しっかりと変更手続きはしておきましょう。
問題④:「変わること」が嫌な人の抵抗
とにかく新しいことに「変わること」自体が嫌な人がいます。
「そんなんだから、このご時世にも手書きのままなんじゃないか」と説教したくなりますが、たいていが目上のオジサンです。
それとなく意見は聞いておき、問題点には対処しながらも、ただの文句に対しては適当にスルーしましょう。
最近はデジタル化の波も来ていますので、デジタル化に表立って反対する人は減っていますが、それでもグチグチ言う人はいると思っておいた方が無難です。
もしあまりにもうるさくて、自分の手に余るようであれば、上司に相談しましょう。
上司がそのタイプだったら、周りの上司か、上司の上司にでも相談しましょう。
手書きの日報をデジタル化すると、以上のような問題が起こると思いますので、予め対処できるものはしておきましょう。
手書き日報のEXCELへの切替手順
続いては、手書きの日報をEXCELに切り替えていく手順を解説します。
今でも手書きの職場は、おそらくパソコンが苦手な人が非常に多い職場だと思います。
下手に無理やり切り替えようとすると反発されて、無かったことにされてしまう可能性があります。
ですので、そうならないようにしっかりと手順を踏んで切り替えましょう。
手順は次のようになります。
これは私が実際にやってきた手順です。
EXCELへの切替手順
- 手順①:やりたい事と現状を把握する
- 手順②:上司と日報を書く人へ話をする
- 手順③:書式を作る
- 手順④:一度試してみる
- 手順⑤:テスト期間として、実際に使ってもらう
手順①:やりたい事と現状を把握する
最初から大がかりな事は考えず、一つ一つの計算や手間を潰していく事を中心に考えましょう。
もちろん、「こうしたい」という希望があれば、それを狙うのはいいと思います。
しかし、あまりこだわり過ぎると完成しなくなるので、あまり難しく考えるよりも「まずはデジタル化する」くらいを狙った方がいいでしょう。
いずれにせよ、一度作っただけで「完成」にはならないので、60点を目指して作るつもりで行きましょう。
もちろん、わざわざ60点を狙うと公言する必要はないので、「とりあえずたたき台として作ってみました。使いにくい点があればすぐに修正していきます。」と言いましょう。
ここで「そんな適当なことをやるな!しっかり作り込め!」と言ってくる人がいるかもしれません。
そういう人は何を作っても文句を言います。
自分で新しいものを作り上げた経験が無い人が言う言葉なので、適当にあしらっておきましょう。
手順②:上司と日報を書く人へ話をする
続いては、一番重要な事です。
上司と日報を書く人にEXCELへ切り替えたいことを伝えて、話をつけます。
そもそも現場にパソコンが無い、という場合は上司にパソコン設置の許可も取りましょう。
嫌がる人は単純に不安なだけなことが多いので「出来るだけわかりやすくする」、「出来るだけ簡単に出来る様にする」といった言葉を付け加えましょう。
「今の時代」、「そろそろ」という言葉を織り交ぜつつも、日報を書いている人の不安を置き去りにしないことを伝えましょう。
ここを適当にすると、後でトラブルが起こった時に非常に困ります。
「だから言ったじゃないか!」とか言われてしまうので、気をつけましょう。
手順③:書式を作る
実際に書式を作っていきます。
やりたいことを織り交ぜつつ、具体的に書式を作っていきます。
従来の手書きの日報の書式を踏襲するのが、スタートとしては一番やりやすいと思います。
色々と試行錯誤をしてみましょう。
パソコンに不慣れな人の不安として多いのが、次の2つです。
- タイピングが出来ないから嫌
- 変なことをしてデータがダメになってしまうのが怖い
ですので、具体的には次のような対応を取ってあげると喜ばれます。
- リスト入力やバーコード入力にして、極力文字入力をしないようにする
- 式が走る場所は保護をかけて消えないようにする
具体的な機能については、こちらで解説しています。
手順④:一度試してみる
ある程度出来上がったら、一度自分で試してみましょう。
使いやすい、使いにくいが出てくるかと思います。
まずは自分で使ってみて使いにくい点を修正しましょう。
自分で試した後は、実際に日報を書いている人にも試してもらいましょう。
この時、色々な意見が出てくると思いますので、それらにもしっかりと対応しましょう。
手順⑤:テスト期間として、実際に使ってもらう
最後は、テスト期間として、しばらくの間実際に使ってもらいましょう。
パソコンが苦手な人が多い場合、入力ミスや保存忘れでデータが消えることなどもあります。
(実際に保存忘れで日報のデータが吹き飛んだ経験があります。)
大変ですが、可能ならば手書きと併用で1か月程度使ってもらいましょう。
もちろん、具合を見てこの期間は調整してみてください。
最後に
以上のような形で、手書きの日報をEXCELに変更していきます。
もちろん、色々と問題は出てくると思いますが、ここまで来たら、あとは根性で乗り切れます。
改善提案のネタにも使えるので、是非試してみてください。
最終的には現場の人も楽になったと喜んでくれました。
とても楽になりますよ!
改善提案のネタにお困りのかたはこちらの記事をどうぞ。
それでは、今日も一日ご安全に!