こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 日報の書式の2パターンの考え方
- 日報に使えるEXCELの便利機能9個
手書きの日報をEXCELに変更した経験もあります。
EXCELで日報をデジタル化したい人の悩みとして、「具体的にどうやって日報をの書式を作ればいいの?」という疑問があります。
私自身、過去に手書きのものをデジタル化する際は、まずはどんな形にするかを悩みました。
そして様々な機能を駆使する事で、少しでも入力の手間が少なくなるように工夫しました。
しかし、実際に使い始めると、「あれは要らない」、「これが欲しい」がたくさん出て来ました。
それらを踏まえて現在の形がありますが、そういったナマの声も取り入れた上での考え方や使える機能を解説します。
製造日報のデジタル化の手順はこちらの記事で解説しています。
本記事はEXCELの具体的な機能の使い方を解説しています。
目次
製造日報書式の2パターンの考え方
基本的に製造日報の書式は次の2パターンの考え方があります。
もちろん、書式自体はその会社や工程ごとに無数の種類があります。
しかし、考え方としては、2パターンしかありません。
製造日報の書式の考え方
- ①:時間経過に沿った書式
- ②:生産品種に沿った書式
どちらの書式を選ぶかは自職場の状況に合わせて選んでいけば良いです。
それぞれ、メリット・デメリットがありますので、解説していきます。
①:時間経過に沿った書式
1つ目は、時間経過に沿った書式です。
一般的な製造日報になります。
1日1枚、勤務時間分の時間の目盛があって、その時刻にやったことを記入していくタイプです。
色鉛筆で有効稼働時間と損失時間を色分けしている所も多いでしょう。
この書式自体は有効稼働時間と損失時間の割合が一目で分かるので、後から製造日報を見る人にとっては見やすいです。
いつ、何が起こったのかをすぐに把握することが出来ます。
その反面、時間で書かれているので、製品ごとのそれぞれの投入量、仕上がり量、歩留などが分かりにくくなっています。
製造日報の集計というのは、最終的には作った品種ごとに情報を並べ替えることになります。
ですので、時間で書くこの形式は、生産品種ごとのデータに並べ替えていかなければなりません。
これが製造日報の集計作業の正体です。
製造日報をデジタル化するという意味では、
まだ並べ替えの手間が残るので、その部分はデメリットです。
しかし、パソコンが苦手な人にとっては、見慣れた形が残るので比較的抵抗は少なくなります。
以上をまとめると、次のようになります。
時間経過書式のメリット
- ぱっと見で生産状況が見やすい
- 見慣れている形なので、デジタル化の抵抗が比較的少ない
デメリット
- 歩留などの情報が分かりにくい
- 最終的には生産品種ごとのデータに変換する必要がある
デジタル化への抵抗が強い職場には、時間経過に沿った書式がおすすめです。
②:生産品種に沿った書式
続いては、生産品種に沿った書式です。
最終的には生産品種ごとのデータに並べ替えるのなら、「最初から生産品種ごとの書式にしてしまえばいい」という考え方です。
その品種で行った作業、時間、投入量、材料ロスなどの全ての情報をその品種ごとに入力していきます。
全体を時間で捉えない形式なので、ぱっと見ではその日1日何をしたのかが分かりにくくなります。
しかし実際には、時間はその品種ごとには入力してあるので、何をしたのかは追いかけられます。
この書式の方が、集計の手間は明らかに減ります。
しかし、普段見慣れない形なので、デジタル化の際はより抵抗が大きくなります。
以上をまとめると、次のようになります。
メリット
- 集計後の書式に近いので、集計作業がとても楽になる
- 歩留などの情報がわかりやすい
デメリット
- その日1日何をしたのかがぱっと見では分かりにくい
- 新しい書式なので、抵抗がある
2つの書式を比べると次のようになります。
- デジタル化の抵抗の強い職場:①の時間経過に沿った書式
- デジタル化の抵抗の弱い職場:②の生産品種に沿った書式
自分の職場に合う方を選んでみてください。
製造日報で使えるEXCELのおすすめの機能9個
続いては、実際に製造日報で活用できるEXCELの機能を解説していきます。
そもそも、製造日報はEXCELでやるべきなのか?と思う方はこちらの記事で比較していますので確認してみてください。
これ~紹介する機能をを活用すると、入力の手間も減るし、見た目にもわかりやすくなるので、ぜひ活用してみてください。
単純な誰でも知ってる機能も、使い方次第で製造日報をより分かりやすく出来ます。
これが機能一覧です。
EXCELのおすすめ機能9個
- ①:SUMの関数
- ②:リスト入力
- ③:時間の入力・計算
- ④:バーコード・QRコードの活用
- ⑤:データの自動仕分け
- ⑥:条件付き書式での色分け
- ⑦:セルの色付け
- ⑧:ブックの共有
- ⑨:ブックの保護
EXCEL機能①:SUMの関数
もう基本中の基本ですが、SUMで合計をしてくれます。
製品数やロス重量などの足し算を計算してくれます。
この画像のように、「B3」セルから「B9」セルまでを合計する場合は、次の式を表示させたい箇所に入力します。
=SUM(B3:B9)
B3:B9は自分の計算したいセルを指定してください。
その他、「+」で足し算、「-」で引き算、「*」で掛け算、「/」割り算を行うことが出来ます。
EXCEL機能②:リスト入力
製造日報のデジタル化の最大のネックともいえるのが「文字入力」です。
どうしても嫌がる人が多いので、極力文字入力を減らす為に使うのがこの機能です。
まずは、入力したい場所とは関係ない場所に、入力したい項目を入れ込みます。
離れた場所でも、別のシートでも大丈夫です。
続いて、リスト入力したいセルを選択した状態で、「データ」タブの「データの入力規則をクリックします。」
次の画面が出てくるので、「入力値の種類」を「すべての値」から「リスト」に変更しましょう。
「元の値」を先ほど入力したセルの範囲にして、「OK」をクリックします。
これで完成です。
入力したい箇所にリストができました。
この機能の注意点はリスト以外の項目が入れられないことです。
例えば、トラブル等で個別の内容を記入したい場合は、別のセルに入れるしかありません。
記入用としてのセルも準備しておきましょう。
EXCEL機能③:時間の計算・入力
続いては、時間の計算と入力です。
普段数式を利用している人でも時間となると途端に訳が分からなくなってしまうこともあります。
ここでは、時刻を分に変換する方法と、「:」の省略について解説します。
時刻を分に変換する
時刻表示にすると、通常の計算では使いずらいです。
例えば、終了時刻「8:00」-開始時刻「7:30」だと引き算すると、「0:30」と表示されてしまいます。
これだとデータとして使いずらいので、これを30分に変換する必要があります。
最初がこの状態です。
普通に引き算すると、このように「0:30」と表示されてしまい、わかりづらいです。
そこで、所要時間のセルを右クリックして、「セルの書式設定」をクリックします。
そうすると、次の画面が出て来ますので、「標準」をクリックして「OK」をクリックします。
そうすると、数字がおかしくなりますが、これで大丈夫です。
時間を換算する時はこの値に24×60を掛け算してあげると分単位に変換されます。
式だと「(C5-C4)*24*60」となります。
そうすると、所要時間は「30」分となりました。
以上のような形で、時刻を分に変換する事が出来ます。
「:」の省略
やると分かるのですが、作業の開始時刻と終了時刻を入力する時に、いちいち「:」を入れるのが面倒です。
これを解消できる「:」を勝手に挿入してくれる方法があります。
まずは、時刻を入力したいセルを選択し、右クリックして、「セルの書式設定」をクリックします。
続いて出てきた画面で「ユーザー定義」をクリックし、「種類」に「0":"00」と入力し、「OK」をクリックします。
これで、時刻を入力すれば、勝手に「:」を入れてくれます。
例えば、次の画像のように「12:30」なら「1230」と入力すればOKです。
ただし、これは表示上は時刻に見えますが、入力値としては時刻ではなく「1230」になるので、計算するとおかしくなります。
そこで、開始時刻、終了時刻を次の式で、時刻に変換してあげます。
=INT(C4/100)/24+MOD(C4,100)/24/60
以上のような形で、時刻の計算を行うことが出来ます。
EXCEL機能④:バーコード・QRコードの活用
EXCELでは、バーコードを利用することも出来ます。
品番が多い職場は、品番ごとにバーコードを作成して読み込むのも一つの手です。
品番は入力ミスをしやすいのでミス防止にも有効です。
バーコードはEXCELとバーコードリーダがあれば、利用できます。
バーコードリーダはこちらです。
値段もピンキリですが、とりあえずは2,000円台の安いので良いでしょう。
QRコードリーダー機能もあるとは少し高くなります。
バーコードは色々と手間がかかるので、すでにバーコードを利用している職場は利用する、くらいの方が良いかもしれません。
バーコードに挑戦する方は色々と調べてみてください。
こちらの外部サイトが参考になります。
EXCEL機能⑤:データの自動仕分け
製造日報で時間の振り分けや材料ロスのランクの振り分けを自動で行う事が出来ます。
例えば、時間であれば、損失時間A~Dまであったとして、それぞれの時間を自動で集計することが出来ます。
合計を算出したいのであれば、「SUMIF」の関数を使用します。
まず、このように所要時間が入力され、その作業名が入った状態とします。
ここで作業A~Dがそれぞれ何分ずつかかったのかを合計します。
数式は「=SUMIF(H4:H11,"作業A",G4:G11)」を入力します。
作業B、C、Dはそれぞれ、「作業A」の部分をB,C,Dに変えるだけです。
以上のような形で、作業を自動で振り分ける事が出来ます。
EXCEL機能⑥:条件付き書式での色分け
条件付き書式設定を使えば、特定の条件を満たしたときに書式を変更してくれます。
次の画像は、作業Aの場合は太字にしてセルを黄色くするルールを設定しています。
これを応用すれば、製品を生産している時は青色、ロス時間の時は赤色などと、色分けをすることも出来ます。
やり方は、次の通りです。
まず、「ホーム」タブの「条件付き書式」をクリックし、「新しいルール」をクリックします。
赤枠の中を選択し、ルールと書式を設定していきます。
「OK」をクリックしたら完了です。
ルールを他のセルへも同様に展開したいときは、ルールを設定したセルをコピーします。
次にルールを新たに設定したいセルを右クリックして「貼り付けのオプション」の「書式設定」で貼り付けします。
そうすると、条件付き書式設定のルールもコピーされます。
ルールの設定は他にもたくさんあるので色々試してみてください。
EXCEL機能⑦:セルの色付け
これもEXCELに基本中の基本ですが、セルを色付けできます。
入力が必要な箇所に色を付けるなどして、どこに入力すれば良いのかを解りやすくしてあげましょう。
EXCEL機能⑧:ブックの共有
経路の長い工程などで、上流と下流に分かれているような工程だと、2か所から日報入力する必要のある所もあります。
そんな時に有効なのが、ブックの共有です。
普通の使い方をすると、誰かがそのファイルを開いている時は「読み取り専用」でしか開けません。
しかし、「ブックの共有」をすることで、2か所から同時に編集することが出来ます。
「校閲」タブの「ブックの共有」をクリックします。
出てきた画面で、「複数のユーザーによる同時編集と、ブックの結合を許可する」にチェックを入れます。
ただし、設定をしても自動保存だと最短でも5分に1度しかできないので、時間にシビアに入力したいなら使い物になりません。
(これはマクロを組んで、保存時間を短くすることで対応できます。)
他には、セルの結合やシートの削除など、使えなくなる機能が色々あるので、先に確認しておいてください。
Microsoftのサポートページより
サポートされていない項目 サポートされていない操作 表の作成または挿入 セルのブロックの挿入または削除 条件付き書式の追加または変更 ワークシートの削除 データの入力規則の追加または変更 セルの結合または結合されたセルの分割 グラフやピボットグラフ レポートの作成または変更 書式による並べ替えまたはフィルタリング 図やその他のオブジェクトの挿入または変更 描画ツールの使用 ハイパーリンクの挿入または変更 パスワードの割り当て、変更、削除 シナリオの作成、変更、表示 ワークシートやブックの保護または保護の解除 自動集計の挿入 データのグループ化またはアウトライン化 データ テーブルの作成 マクロの記述、記録、変更、表示、割り当て ピボットテーブル レポートの作成または変更 配列数式の変更または削除 スライサーの作成または適用 XML マップの追加、名前の変更、削除 スパークラインの作成または変更 XML 要素へのセルの対応付け Microsoft Excel 4 ダイアログ シートの追加または変更 [XML ソース] 作業ウィンドウ、[XML] ツール バー、[データ] メニューの [XML] の使用 データ フォームを使用した新規データの追加 スレッド化されたコメントの追加 スレッド形式のコメントの編集または削除 引用元:microsoft-サポート
以上のような機能的に劣る面がある為、本当に必要でない限りは導入しない方が良いでしょう。
また、EXCELの形式次第ではブックの共有ボタンが出てこないこともあるので、その場合は、下記外部サイトが参考になります。
Office Hack:https://office-hack.com/excel/shared-workbook/
EXCEL機能⑨:ブックの保護
最後は、数式や書式など、間違えて消されてしまうと集計がうまくいかなくなります。
それを防止するために、数式などの触ってほしくない部分に保護を掛けます。
まずは、保護を掛けずに入力してもらうセルを選択して右クリックして「セルの書式設定」をクリックします。
保護したいセルではありませんのでご注意ください。
続いて、「保護」のタブをクリックし、「ロック」のチェックマークを外して「OK」をクリックします。
その後、「校閲」タブの「シートの保護」をクリックし、出てきた画面の「OK」をクリックすれば完了です。
必要ならパスワード設定もしてみてください。
このようにして、余計なトラブルを未然に防いでいきましょう。
どうしても、トラブルが一度起こってしまうと、「やっぱりやめよう」という雰囲気になりがちなので、可能な限り未然に防ぎましょう。
あなたの腕の見せ所です。
最後に
EXCELの製造日報のオススメ機能を解説してきました。
製造日報のデジタル化はやるまでは大変です。
しかし、いざ始めてしまえば、「何でもっと早くやっておかなかったんだ」と思います。
早いとこ、やる事やって効率を上げていきましょう!
それでは、今日も一にご安全に!