現場の声は大体正しいよ!
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 現場の声とは?
- 現場の声は大体正しい
- 現場の声を聞くうえで注意すべきポイント
- 現場の声を聞く方法
- 現場の声を聞くメリット
現場の声を元に、仕事を組み立てることも多いです。
現場の声を聞くべきかを悩んでいる人のよくある悩みとして、「どこまで現場の声を聞くべきなんだろうか?」という点があると思います。
私の元上司は現場の声を聞かないタイプの人間でした。
現場の重鎮からのアドバイスも耳が痛いことは見てみぬふりをしていました。
この上司は最終的には異動で部署からいなくなりましたが、いなくなるまでは現場はだいぶ疲弊していました。
現場の声を聞かず、自分の意見で現場を動かすだけでした。
実際に聞こえてきた現場の声も、私が聞く分には至極真っ当なものでした。
最後の方は、現場の人たちも「考えて仕事すると文句言われるから、言われたことだけやるよ」と言うようになりました。
私が引き継いでからは、現場を信用し、現場の声を大きく取り入れていきました。
すると、3年程度で現場が生き生きとするようになってきました。
もちろん、成果も上がるようになりました。
こんな風に、色々試しながら、やってきた実績があります。
そこで、今回の記事では「現場の声」について解説していきます。
目次
現場の声とは?
まず最初に「現場の声」について定義します。
現場の声とは?
現場の声とは、現場で仕事をしている人から出てくる要望、改善した方が良いポイントのこと。
最前線で仕事をしている人達から発せられる生の情報のこと。
「現場の声」というのは様々な捉え方がありますが、本記事ではこのように定義します。
「文句」の形で出てくるものもありますし、「もっとこうして欲しい」といった意見もあります。
基本的には最前線で仕事をしているが故の生の声であり、最もその現場に詳しい人のアドバイスという場合もあります。
こういった「現場の声」というのは改善する時にも非常に重要な情報です。
現場の声は大体正しい
現場の声というと、最前線の生の情報であり率直な意見が多くなります。
現場のおっちゃんたちは結構ストレートにモノを言ってくることも多いので、かなり耳が痛い場合もありますね。(笑)
「どこまで信用していいものか…。」なんて言っている人も見かけますが、基本的に「現場の声は大体正しい」と思って大丈夫です。
むしろ信用しないでいることで大きなデメリットが出て来ます。
後ほど解説しますが、それは「現場の声が出てこなくなる」ことです。
なぜ現場の声が正しいのかというと、それは現場の人は最前線で最もよく現場を観察しているからです。
作業に関すること、現場の微妙な変化、異音、そしてその対策など、あなたは現場の人より詳しく知っていますか?
現場の人は最前線にいるからこそ、そういった情報量が多く、良い面も悪い面もよく知っているのです。
もし、あなたがいくら情報を集めたとしても、実際に現場でやっている人よりは情報が圧倒的に少ないのです。
だから、そういった情報を最も持っている現場の人が大体正しい答えを知っているのです。
「どこまで信用していいのか?」と考えている人でよくいるのが、現場の人を「頭が悪い」と小馬鹿にしてる人です。
「頭が悪いから、言っていることがただの思い込みでは?と感じる。イマイチ信用できない。」
こんなことを考えている人がいますが、「そんな人こそ、それ、思い込みでは?」ということです。
それに気づかないその人は…。
まあ、それはいいとして、もちろん絶対に間違わないなんてことは言いません。
間違うこともありますし、鵜呑みにして私自身痛い目あったこともあります。
でも、現場の声は大体正しいです。
ここを疑ってかかるとそれこそ仕事が進みません。
また、アメリカの国務長官も務めたコリン・パウエル氏もその著書「リーダーを目指す人の心得」の中で次のように言っています。
新しい隊に赴任すると、私は、「現場の意見を尊重する」と早い段階で宣言していた。
まずは現場の言葉を正しいものとして取り扱うのだ。
逆だと私を納得させないかぎり、まちがっているのはスタッフだとする。もちろんスタッフにはうれしくないやり方だが、それでいいのだ。
現場を優先する私のやり方は理屈にあわないと思う人もいるだろう。だが、これがうまくいくのだ。引用元:リーダーを目指す人の心得(コリン・パウエル著)
なかなか面白い本でしたよ。
そんなわけで現場の声というのは大体正しいと考えて良いのです。
現場の声が聞けるようになる方法
続いては、現場の声がしっかりと聞けるようになる方法です。
最初にはっきり言っておきますが、「いきなりは無理」です。
現場の声を聞く方法
- 手順①:まずは小さな現場の声を聞く
- 手順②:聞いた意見に真摯に対応し、信頼関係を築く
- 手順③:信頼関係が出来たら、再度現場の声を聞く
手順①:まずは小さな現場の声を聞く
現場には現場の「建前」と「本音」があります。
いくら現場の率直な意見を貰おうとしても、ある程度の信頼関係がないと本当に問題を感じている部分には簡単に意見はくれません。
例えば、あなたが社長に率直に仕事のダメ出しを出来るでしょうか?
それと同じで、下手に意見を言って後でハシゴを外されたり、文句言ってると捉えられてしまって自分が痛い目に遭う可能性があるので、なんでも話してくれるわけではありません。
こういったことがあるので、まだ信頼関係が構築できてない人には、重たいテーマの現場の声は出て来ません。
ですので、まずは小さなことから積み重ねていく必要があります。
小さなことであれば、すんなりと教えてもらえるので、そういった小さなことをまずは聞き出します。
雑談の中で、「そういえば、仕事してて困ってることとかあるんですか?」といった感じで聞いてみましょう。
そうすると、ちょっとした困りごとを教えてくれます。
こんな感じで、まずは教えてもらいます。
手順②:聞いた意見に真摯に対応し、信頼関係を築く
とりあえず聞くことの出来た、小さなことからしっかりと受け止めて対応します。
それは、ちょっとした頼みごとだったり、ちょっとした作業の手伝いかもしれません。
それらをしっかりと対応するのです。
もちろん、嫌な顔一つせずに対応します。
早ければ早いほど良いです。
このようなことを繰り返して、徐々に信頼を勝ち取っていきます。
手順③:信頼関係が出来たら、再度現場の声を聞く
そして、信頼関係が出来てきたら、再度現場の声を聞きます。
ある程度の信頼関係が出来ていれば、現場の人に直接聞いてみましょう。
いくら信頼関係が出来ていても、会議という公式の場ではなかなか言いづらいものもあります。
ですので、班の単位であったり、職場会議で聞いたりするよりも、1対1や、少人数の砕けた場で話をする方が本音が出やすくなります。
こうして、現場の声を集めていきます。
この時点まで来ると、軽いものから重たいものまで、様々な声が出てきます。
あとはそれらに対処していけばOKです。
現場の声を聞いて動くときの注意点
信頼関係が出来た上でも注意しておかなければならないポイントがあります。
なんでもかんでも言われたことに対応すればOKというわけでもありません。
次の注意点があります。
注意点
- 注意点①:現場以外の推測が混じっている時は精査
- 注意点②:現場の声(意見)の大元は何なのかを考えること
- 注意点③:思い付きとの違いに注意する
注意点①:現場以外の推測が混じっている時は精査が必要
まずは現場以外の部分、例えば、製造現場が営業のことを言い出したりしたときは注意が必要です。
そもそも、現場の声が正しいとする理由は、「現場の情報に最も詳しい人が言っているから」です。
つまり、自分の現場以外のことを意見し始めた時には、それについては最も詳しい人ではなくなります。
ですので、こういった推測が混じっている時はその意見は話半分程度で聞いておかないと痛い目にあいます。
もしかしたら正しい意見かもしれませんが、なぜそういった声が上がったのかをしっかりと精査する必要があります。
注意点②:現場の声(意見)の大元は何なのかを考えること
続いては、様々な現場の声に対応する際の問題です。
現場から上がってきた問題点と対策があったとします。
もちろん、対策なのでその問題点をある程度解決してくれているのですが、問題の大元が解決しない場合もあります。
例えば、虫が入って来るから対策として殺虫剤を使用する。
もちろんこれは立派な対策ですが、大元の「虫が入ってくる」ということへの対策ではありません。
このように、問題に対処するのには最善の対策だったとしても、「そもそもなぜその問題が発生したのか?」といった、大元の部分には触れていないことがあります。
その辺に注意しましょう。
注意点③:思い付きとの違いに注意する
最後はやっぱり現場の声を信用しつつも、確認だけはしておくべきという話です。
様々な意見が出てくるようになると、気軽に意見が言えるのであまり考えられていない意見も出てくるようになります。
要するに、その場の思い付きで出てきた現場の声です。
この類の現場の声は、仮にそれを対応したところで何にもならないことがあります。
要するに目的の無い現場の声です。
こういう思い付きの現場の声と、有意義な現場の声の差を見極められずに、ただ現場の声を鵜呑みにするだけではもちろんダメです。
基本的に現場が正しくてすぐに対応するけれど、おかしい部分はちゃんと気付いてそれも踏まえて対処できる様にならないとダメです。
もちろん、これも簡単には見極められないかもしれませんが、いつも目的を考える癖をつけておけば大丈夫です。
以上の3つの注意点に気を付けながら、現場の声を聞いて対応していけば、成果がどんどん上がります。
現場の声を聞くメリット
「現場の声は大体正しい」として、仕事をしていくと次のようなメリットがあります。
現場の声を聞くメリット
- メリット①:成果があがる
- メリット②:現場と信頼関係が出来、スムーズに仕事が進む
- メリット③:現場が無理を聞いてくれるようになる
メリット①:成果があがる
まずは、単純に成果が上がります。
現場の声を聞けば的を射た対策もセットで出てくることが多いので、仕事が進むようになります。
自分では見つけられなかった対処法もすぐに出てくることが多いです。
その他にも、現場自体の成果があがるようになります。
これは、現場の人は私たちが現場の声を聞いてくれるとやっぱりうれしいもので、あれもこれもと成果のあがることを言ったりやったりしてくれるようになります。
ちなみにこの状態が強い現場力を持つ現場ということになります。
現場力についてはこちらの記事で解説しています。
メリット②:現場と信頼関係が出来、スムーズに仕事が進む
現場との信頼関係が出来ることで、あれこれ細かい許可などが不要になって行きます。
これがけっこう効果があります。
最初の信頼関係がない時期だと、上司、現場の班長、現場の担当者の確認と、実質的に関係する人全員にその都度一から説明しなければなりません。
しかも、それぞれの人が批判的だったりもします。
しかし、信頼関係が出来上がると話が二つ返事で進むようになります。
有効なアドバイスまでついてくることも多いので、かなり役に立ちます。
こういった手間も信頼関係の有無で大きく変わってくるのです。
メリット③:現場が無理を聞いてくれるようになる
仕事ですからどうしても筋が通らなかったり、無理を言ったりすることも出て来ます。
こういった時に、普段から現場の声を聞いていると、皆なんだかんだ言いながら助けてくれます。
私も、上司の指示で自分の思想とは全く異なる仕事を指示されたことがありました。
要するに筋の通らない仕事だったわけですが、正直に現場の人に話しました。
その時の会話はこんな感じです。
現場の人:「お前、それ普段言ってることと全然違うじゃん。」
私:「そうなんですが、上司に指示されまして…。」
現場の人「あぁ、お前も大変だな。でもお前はいつも話聞いてくれるし、やったるわ!」
私:「すみません。そしてありがとうございます!」
このように、普段から現場の声に耳を傾けていると、困った時に助けてくれます。
以上のような形で、普段から現場の声を聞いているとメリットを受け取ることが出来ます。
逆に言えば、現場の声を聞かないということはこれらのメリットを受け取れないということです。
現場が動いてくれなければ、どんなに自分が良い方法を考え出しても、なにも成果はあがらないのです。
そして、最も注意しなければならないのは、「現場の声を聞かないでいると現場の声が出なくなる」ことです。
いざ現場の声を聞いて判断したいと思った時にも「普段聞かないくせに困った時だけそんなこと言うなよ」なんて言われてしまいます。
こんな風になったら現場と関わる仕事は厳しいですね。
そうならないように、日頃から持ちつ持たれつであることを意識しましょう。
最後に
今回は、「現場の声」というキーワードで現場との付き合い方を考えてみました。
でも、これは「現場」だから、ではなくてどこでも一緒かなと思います。
人の話を聞いて、受け止めて、真摯に対応していけば、信頼関係が生まれます。
信頼関係が生まれれば、良い仕事が出来る。
自分の仕事に協力してほしければ、まずは自分が協力する。
こういうことじゃないかと思います。
それでは、今日も一日ご安全に!